ノー・リグレット 〈大学衛星・あかりの寝室。夜更け〉 あかりとクリスはソファに座って、語り続けていた。 この大学衛星で一緒に過ごした日々のことを。 「あっという間に、過ぎていったみたい。…クリス、明日には 行っちゃうんだね」 うつむき加減にあかりが呟く。 「うん、まるで夢のようだ…」 クリスの言葉に、あかりはクリスの肩に顔を寄せて、泣き出 した。 「ちがうもん!夢なんかじゃないもん!…クリス、どうしてな の!?みんながクリスを追い返そうとする!みんながクリスの 思い通りにさせてくれない!どうして!」 叫ぶあかりの瞳に、涙が光る。 「私は巫女になる…。あかり、すまない。でも、部族の掟には 従わなくてはならないんだ…」 静かにクリスが答えた。 しばらく二人はそのまま寄り添っていた。 つとクリスがあかりの顔を自分に向けさせて、ぎゅっと強く キスした。 キスをやめて、クリスが言う。 「このキスは、誓いだ。いつの日か、また会えますように…」 あかりは、何も言えなかった。初めてのキス。それも、最高 に敬愛するライバルからのキス。 『これが、愛するっていうことなの?』 あかりはどうしても、知りたかった。 「ねえ、クリス」 口ごもりながらあかりが尋ねる。 「クリスは、親友を恋人として愛することができると思う?」 ちょっと戸惑ったクリスだったが、すぐに優しい微笑みを浮 かべて答えた。 「…ああ、もし本当に心を一つにしているなら、二人は親友で あると同時に、愛し合うことだってできると思うよ…」 あかりが身を寄せた。 「クリス、わたし…、わ…」 その時、あかりはハッとした。クリスの手が膝の上に触れて きた。 「しぃっ、わかってる。私も、あかりを、愛しているから」 そしてクリスはさらに唇を重ねてきた。 あかりが仰向けにソファに横たわると、クリスは上からのし かかって、まるで永遠に続くかのように、さらに深く口づけし た。 クリスが唇を離すと、二人の少女の唇にうっすらと唾液の糸 がひいた。 「あかり、これからおまえに私がすること…、お願い、後で後 悔しないでおくれ」 クリスがそっとささやく。 「後悔なんか、しないよ」 あかりは目を閉じた。親友が、恋人が自分にしてくれること を全て受け入れようとして。 クリスは部族の衣装を脱ぎ捨てて、ブラとパンティと、スリ ッパだけになった。 あかりも、シンプルなピンクの服と白いブラウスを脱ぎ去っ て、下着と白いテニスソックスだけの姿になった。 クリスがあかりの頭に手を伸ばして、黄色いリボンをほどい た。うさぎの耳のようなあかりのおさげ髪が、他の髪と一つに なる。 そしてクリスは自分の銀色のロングヘアをリボンで結った。 「私の部族では、恋人同士が初めて愛し合う時に、互いの何か を交換するんだ」 そう言って、クリスは自分の金色のティアラを外して、あか りの額にはめた。 ふたりはじっと立ちつくして、互いの姿を見つめながら、身 につけるものを一つ変えただけでこんなに印象が変わってしま ったことが信じられないようだった。 あかりはまるで、月のプリンセスだった。 クリスは普通の女子高生にさえ見えた。 「きれい」 二人が同時に言った声が重なる。 あかりに歩み寄ったクリスが、その腕をあかりの身体に回し てブラを外す。 そしてクリスはあかりの耳元に囁いた。 「私のも」 クリスのブラを外そうとして、あかりは身長差に苦心した。 たがいの胸を見つめ合う二人。前よりも整って大きくなった あかりの胸。だがそれにもましてクリスの胸がびっくりするく らい大きく見えたのは、おそらく月の明かりが光線になって部 屋に射し込み、それが部屋の暗がりと交わって陰影をなしたせ いだろう。それが、クリスの美しさをよりきわだたせていた。 「ああ、クリス…」 あかりは、目の前の聖少女の姿に畏敬の念すら抱いていた。 「…あかり」 そう呼んだクリスの頬に、一筋の涙がこぼれた。 「クリス?どうして泣いてるの?」 あんまりクリスをじっと見つめすぎたんで、気分を悪くさせ ちゃったのかな、と、あかりは不安になった。 「なんでもない。あかりを見てたら、なんだかあかりの方が月 の巫女にふさわしいって思っちゃった」 クリスが答える。 あかりは気持ちを落ち着かせると、つま先を立ててクリスに キスした。さらにちょっとだけ、舌を差し込む。ちょっと身を 固くしたクリスも、すぐにとろけるように自分の舌をあかりの と絡めた。 やがて、あかりの全身は熱情に燃え上がり、クリスの身体も あかりと一つになりたいという願いに熱く火照った。 あかりはもう、我慢できなくなった。 「クリス…、わたし、クリスが欲しいの、お願い」 そこにはもう、疑いも戸惑いもなかった。 「うん、あかり…。私も、あかりが欲しい…」Illustrated by IZUMI Kanesada 二人のアスリーテスたちは、またソファに戻って、パンティ を脱ぎ去ると、一緒に横たわった。あかりが上になって、二人 は情熱のままに互いに激しくキスしあった。 クリスがあかりの手をとった。 「…さわって」 そう言って、クリスはあかりの左手を自分の乳房にあてがっ た。 「さあ」 本能に促されるように、あかりはクリスの乳房を、親指で乳 首を刺激しながら優しくもみしだきはじめた。 「ううううんん……」 うめき声をあげながら、クリスはあかりにもお返しした。た だし胸を揉むかわりに、クリスはあかりの乳房に口をつけた。 「ああん、…クリス…、ああっ!」 あかりは、こんな単純な行為で自分がこんなに燃え上がるな んて思いもよらなかったし、他の人に乳房をしゃぶられること なんて想像もしていなかった。あかりはますます喘ぎながら、 頭をのけぞらせた。 動きを止めて起きあがったクリスは、逆にあかりを仰向きに させ、自分がその上にのしかかって、話しかけた。 「あかり、私がどこにさわっても、怖がらないでね。痛くなん かしないから」 クリスはあかりの秘所を指さし、手のひらを上からあてがっ た。 あかりはちょっと怖かった。お医者さんかお母さん以外にそ んなところをさわらせたことはなかったし、ましてや、あそこ なんかを。 でも、今ここにいるのは、クリス。愛しい人。 『クリスは、親友だもの。わたしを傷つけたりするはずない』 そう思ったあかりは、クリスを見上げて、コクンとうなずい た。 あかりのプッシーにあてがった手を、クリスは優しく前後に 動かした。一瞬、目を剥いたあかりだったが、すぐにその目を 閉じた。 「ああ…クリス…」 そのうちに、あかりは自分から腰をクリスの手に押しつけて きた。身体の中で燃え上がる炎を、もっと激しくかき立てよう として。 自分の手だけであかりがイキそうなのを見て、すっかり熱く 興奮したクリスだったが、自分もまたあかりにイカされたかっ た。 「あかり、私のも、さわって」 あかりはうなずくと、クリスのプッシーに手をやって、クリ スがしてくれたのと同じことをし始めた。クリスは身をよじり ながら、あかりの名と、何かの言葉を叫んだ。クリスが以前、 「ビギナーズの喜びのダンス」を裸になって踊った時に、あか りが聞いた言葉。 クリスとあかりは互いの手で激しく愛撫しあっていた。狂っ たような手の動きに、あかりはもう言葉もなく、クリスもずっ と黙ったまま、ただ、時おり口から漏れる息づかいの小さな音 だけが響いていた。だが、二人ともまだ絶頂に達するには至っ ていない。 『あれを、してあげよう…』 クリスが決心した。 すっかり濡れそぼったあかりのプッシーから手を離して、ク リスは振り向くとあかりの両脚の間に顔を乗せた。 「クリス?いったい、な…、ああああ…あっ…ああっ!」 あかりは左右に首を振った。 あまりにも激しい刺激に耐えられなくなったあかりは、とう とうぎりぎりの崖っぷちまで追い込まれた。 「クリス…ク、クリスぅ……ああ…、わ、わたし……あ、 あああああああああ!!!!!!!!」 カウチの上であかりは身をのけぞらせると、そのままがっく りと力尽きた。激しく息をつきながら見上げると、クリスが自 分の身体の上から降りて、すぐそばに横たわった。 「クリス、ごめんね。わたしだけ…、クリスだってイキたかっ たでしょ」 荒い息づかいであかりは呟いた。 「なんでもない。私も気持ちよかったし、あかりはとっても、 ふふ、おいしかった。でも、私もあかりに、してほしいな」 クリスは両脚をあかりに向けて広げた。 「私の中に、あかりの指を入れて。私の処女を奪って。あかり に、初めての人になってほしい…」 あかりは、ショックを受けた。 「そんなの、い、いいの?本当に、クリス?」 クリスはうなずいた。 「月に戻ったら、巫女の私は母になることも夫を持つこともな い。…お願い、あかり。あかりが、私を、おとなにして」 あかりは身を起こしてクリスに寄り添うと、クリスの中に二 本の指先をあてがった。だがクリスはあかりの指を引き抜き、 自分の口にくわえて、濡らして滑りやすくさせた。そしてもう 一度、自分のプッシーにあてがった。 「いいの、クリス?」 「うん」 うなずくクリス。 あかりがゆっくりと指を中に入れていくと、あかりを見つめ るクリスが一瞬、眉を寄せた。あかりの指が、プッシーの奥の 処女膜に触れたのだった。 ふと何か考えたあかりは、クリスの手をとって同じように自 分のプッシーにあてがった。いぶかしげにあかりを見つめるク リスに、あかりは自分のプッシーの中にもクリスの指を少しず つ押し込んでいった。 「一緒に、おとなになろうね」 にっこり微笑んであかりがささやいた。 「…いいのか?」 クリスが訊き返すと、あかりは再び微笑んで目を閉じた。 「うん!」 クリスが二本の指をあかりの中にとさらに深く差し入れてい くと、やはり処女膜の感触が指先にあたった。 二人の少女は互いにそっとうなずき交わした。そして、同時 に互いの指をぐっと奥に押し込み、同時に互いの処女膜を破っ た。 悲鳴をあげた二人が、おそるおそる目をやると、互いのプッ シーからかすかな破瓜の血がにじんでいた。 「だいじょうぶか、あかり?」 「うん、平気。…あのね、動かさないと、かえって痛いんだっ て。だから、指を動かして、クリス。…でも、ゆっくりお願い ね」 クリスが言われたとおりにすると、あかりはもう一度目を閉 じて、低く呻き声をあげた。 「う、うううううん…」 あかりも自分の指を親友の胎内で動かすと、クリスもあかり の指の動きにあわせてゆっくりと腰を使い出した。 二人の少女は再び熱く燃え上がり、動きのテンポを少しずつ 早めていった。クリスがあかりの肩を抱き寄せると、あかりは クリスの乳房を吸った。 やがて、二人はこれ以上耐えられなくなった。そしてクリス は、最初の絶頂に達した。同時にあかりも、その夜二度目の絶 頂を味わっていた。 *** 秘め事のひとときの後、クリスとあかりはベッドの上で寄り 添いながら、語らっていた。 「クリス、きっとまた、会えるよね、ね?」 そう言ってあかりはクリスの腕を抱きしめた。 クリスは、とうとう心を決めた。 「あかり……、私、あかりと一緒にいたい。もう、帰りたくな い…!」 あかりは、信じられなかった。 「ほんと!?」 あかりはベッドの上で跳ねた。 クリスはしかし、すぐに冷静さを取り戻した。 「あかり、愛してる。でも、私はもう明日になれば、この大学 衛星にはいられなくなる…。地球に身を落ち着けるところをさ がすとしたら、あかり、助けてくれる?」 「もちろんよ、…そうだ、北海道のわたしの家に来てちょうだ い。わたし、一人暮らしだから、誰にも気づかれないし、それ に…」 あかりが静かに告げる。 「わたし、退学する」 クリスは、愕然とした。 「だめだ!あかり、お前は今やコスモ・ビューティなんだぞ、 それを、私なんかのために…?」 「ばか!だってあたし、クリスを愛してるんだもの」 あかりはクリスの頬にチュッとキスすると、横になった。 「この事は明日また話そうよ、ね、クリス?(ふあ〜)わた し、もうくたくただもん」 「私も、あかりを愛してるよ」 そう言ってクリスは、親友であり、恋人であり、そして、 これからの人生を託すべき存在である少女の隣りに横たわっ た。 『そう、きっと、うまくいく。いつも、そうだったもの』 そう思いながら、クリスは眠りについた。 つづく
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