鞭と髑髏 Peitsche und Totenkopf / 隷姫姦禁指令
4・無情な劫罰 Die Gnadenlose Bestrafung
「う…ううっ……」 苛酷な煉獄である地下牢に、全裸の公女の呻き声がこもって 反響する。 哀れなクラリス姫は何一つ身にまとうことも許されないまま、 今は両腕を荒縄で束ねられ、天井の頑丈な滑車を通じて吊され ていた。そのありさまは、なすすべもなく鉄鉤にぶら下げられ て屠殺されるのを待つばかりの家畜同然だった。 両足が床から30センチほど浮いた少女の体重が、自分の両 手首と両肩を容赦なく引き伸ばす。いかに華奢で軽い少女の自 重も、すぐに苛酷な拷問になって、うら若き乙女の肢体を責め 苛んだ。関節が外れそうな痛みに、クラリスは苦悶の表情を浮 かべながら喘いだ。 「…ああうっ…!」 手首、肘、肩に蓄積される鈍痛に、詰めていた息を一気に吐 いた可憐な囚人は、うわずった苦悶の声を漏らす。 「…うふふふふ」 吊されて上下に引き伸ばされた美少女の裸身を舌なめずりし て眺めながら、やはりあの邪悪な漆黒の軍服姿のヘルガ少佐が、 ヒールの音を甲高く鳴らしながらゆっくりと周囲を回り、あた かも美術品のように、手中に収めた美虜を隅々まで鑑賞してい た。 クラリスの白く滑らかな肌は、痛みに鬱血してほんのりと紅 く染まり、全身にぬめるような脂汗がにじみだしていた。その 濡れた肌があたかもブロンズ像のようにキラキラと光沢を放っ ていた。 「…昨夜は、かわいい召使いとずいぶんお楽しみだったみたい ね?」 ハッとして身体をくねらせて顔を向けた公女に、女将校は見 透かしたような目を向け、からかうような口調で嬲った。 「あ、あの娘は関係ありませんっ!お願いだから何もしないで あげて!」 思わずクラリスは叫んでいた。あのけなげな少女がその献身 ゆえに迫害を受けることになるのは、公女には耐え難いことだ った。 本来ならば、こんな辱めを受ける前に自ら命を絶つ選択肢を 選ぶべきだっただろうし、それは今でも遅くはないはず、と高 貴の姫は理解はしていた。しかし今自分が死んだところで、総 統府で囚われになっている両親を利する可能性は無いだろう。 むしろ残虐な帝国総統の理不尽な怒りをかき立てるだけになる 確率の方が高い。聡明な公女は、いま自分にできることは耐え ることだけだ、という冷厳な判断に従うべきであることを理解 しつつも、その恥辱の大きさには今すぐ舌を噛み切りたいほど の衝動に駆られてもいた。 だが同時に、あの頑是無きラナの存在は、この生き地獄の中 で唯一の救いであると同時に、クラリスに真の魂の救いをもた らす決断をくだす上での大きな枷にもなっていた。あの少女が 救い出されるまで、自分だけが救われるわけにはいかない…。 哀れなほどに慈悲深いプリンセスは、そう思わずにいられなか ったのである。 「…ふふ、一国の大公の娘ともあろうお方が、ずいぶんとご執 心なのね。いったい、どんなことしてもらったのかしら…?」 ほくそ笑みながら、ヘルガ少佐愛用の乗馬鞭が、宙に浮いた クラリスの両脚の間を下から上になぞり、秘所にたどり着く。 「…ひっ」 鞭の表面が敏感な果肉に触れ、それをあたかもヴァイオリン の弓のように手前に滑らせていく。 「…っう!くうううっっ…んんんっっ!」 松脂が塗られてザラザラした乗馬鞭の表面が、繊細な乙女の 陰唇に傲慢なほどの刺激を加えた。 「ふっ、ちょっと妬けちゃうわね。ほら、ご覧なさいクラリス 姫。こんなに濡れてしまっているわ」 公女の股間から抜いた鞭を、親衛隊美女は宙吊りの少女に見 せつけるようにかざした。ランプの灯を反射してぬめるように 輝く鞭から、やがてゆっくりと滴が零れた。 「女の悦びを、あんな小娘から教わったのね。奥手な公女サマ だこと」 侮蔑の色も露わに、ヘルガ少佐がクラリスを詰った。生贄の 公女は顔を背け、羞恥で紅く染まった表情を隠す。 「…でも、そんなの子供の遊びよ」 その言葉と共に、冷酷な女将校が梃子の取っ手をガタンと引 いた。それに連動したロープが滑車一巻き分ほどガタガタと巻 き取られ、吊り下げられていた全裸の少女がガクンと揺れなが らさらに上に引き上げられた。その振動で加えられた細い手首 に食い込む繩の痛みに、クラリスが悲痛な呻きをあげた。 「ひっぐぅぅっっ!」 煩悶する公女の股間が、ちょうど人の顔の高さにまで上がっ た。 汗と淫液にべったりと貼りついた仄暗い繁みを目の当たりに し、ヘルガ少佐がため息を漏らした。その冷たい息遣いが伝わ る。 「…素敵だわ、本当に仔猫みたい」 革手袋のままヘルガの指が、薄く繊細に繁る栗色のヘアをか き分けた。 「!…っ」 ザワザワする悪寒が公女の背筋に走る。だがそれがもたらし たのが不快感だけではなかったことを、クラリスは必死になっ て否定しようとした。 『そんな…こんなの、イヤなのに…!』 だが、むず痒い刺激が全身を取り巻く感覚に腰をひねった瞬 間、ほんのわずか開いた両の太股をこじ開けた美女士官は、公 女の秘密の花園にその顔を押しつけてきたのだ。 「…!い、いやあっっ!!!」 ナメクジのように冷たくぬめった長い舌が、苦痛を受けて過 敏になった秘所を遠慮会釈もなく舐りつけてくる。前日に鞭に よる苛烈な貫通を受けたとはいえ、公女の秘所は未だに乱れを 見せず、蕾のような秘唇をぴたりと合わせていた。ヘルガ少佐 の舌はその陰唇をゆっくりと、しかし効果的に刺激する動きを 加え、漏れ出していたクラリスの淫蜜と自分の唾液を混ぜ合わ せながら、じっくりこね回していく。 「…高貴な姫君は、ここのお味も上品だわ」 嘲りつつも舌の愛撫を止めないヘルガ少佐に、クラリスは身 をよじって離れようとするが、その試みは徒労であるばかりか、 手首や肩をギリギリと痛めるばかりだった。 そして公女にとって屈辱的なことに、この親衛隊美女の口唇 愛撫が少女の敏感なポイントをあまりにも的確に刺激してくる ことが身をもって知らされてしまっていた。昨夜のラナのぎこ ちなく幼い舌の使い方に比べ、ヘルガ少佐の舌づかいは巧緻を 極めていた。 『いや、いやっ…、こんな…こんな人の手でイキたくないっ!』 クラリスは凄まじい自己嫌悪と、そしてあの敬虔なラナの心 のこもった奉仕を裏切りそうな自分への恐怖を感じながら、必 死になってこの快感に耐えようとした。公女は歯を食いしばり、 声が漏れそうになるのをこらえ、美女の舌舞から逃れようと、 かいのない反転を繰り返す。 しかし、蛇のように絡みつく親衛隊美女の舌づかいは、少女 の汚れなき花芯を引き抜かんばかりに嬲り続けた。その動きは、 公女のけなげな忍耐を嘲笑うかのように、容赦なく少女の青い 肉体を目覚めさせ、燃え上がらせていくばかりだった。 「…あうっ、あ、あああうう……ひうっっ!いやあっ、あああ あっ…!!」 自尊心と、そして肉体の火照りの狭間に引き裂かれたクラリ スが、ついに堪えられずに悲鳴のような悦声をあげた。そのう わずった自分の声に、公女の羞恥は、そして快感はさらに階段 を駆け上るように高みへ上り詰めていく。 『…っいけない、こんなのダメぇ…っ……わ、私は、公女とし て、こんな屈辱に負けてはダメなの…こんなことで屈服なんか でき…できない、のに……あああ…ううっ!』 意志と矜持がいかに己が美徳を支えようとしても、すでにク ラリスの身体は何もかもを否定し、欲望の虜になりつつあった。 追いつめられた子羊をさらに追いつめて弄ぶように、残酷な 女狼はねっとりと貼りつく革手袋をはめた両手で、クラリスの 柔らかな双臀をわしづかみにし、指先を食い込ませた。 「こんなに蜜を溢れさせて…ふふふ、可愛い顔をして食わせも のだわ、とんだ淫乱お姫さまね」 「そんな…ちが…ああうっ!」 必死で否定しようとするクラリスの身体は、しかし桜色に染 まり、汗が滲んでいる。 「昨日もこうして召使いに奉仕させたくせに。さあ、痩せ我慢 しないでイッておしまいなさいな」 「いや…いやいやいや……はああうっっ!」 激しく首を振る公女が、突然ビクンッと痙攣し、全身を魚の ように跳ねさせた。脳天にまで響く快感の電流は、ヘルガ少佐 がクラリスの肉芽を甘噛みした所為だった。 『…ああ、わたし…私、イッてしまう…っっ!』 閉じた瞳に絶望の涙を滲ませつつも、公女の内奥ではじける 炎は一瞬で幼い肉体を灼き尽くした。絶頂の波が高貴のプライ ドも何もかもを押し流し、吊られた身体を何度も痙攣させた。 そしてクラリスはその意志に反して、憎んでも飽き足らない悪 魔のごとき美女の眼前で、その手によって女の悦びをもたらさ れて、ぐったりと力尽きながらとめどなく愛液を垂れ流してい た。 熱く淫液を迸らせる秘所から、とめどない奔流が可憐な公女 の内股を下り、やがてその先陣は踵にまで達し、浮いた爪先か ら50センチほど下の床に滴が落ちた。 邪淫の洗礼を受けたかのように全身を汗と淫液に濡らし、肉 体の炎でふいごのように激しく息を切らし、墜ちてしまった自 分自身が信じられないといった茫然とした表情を浮かべ、クラ リスは虚ろな青い瞳を宙に彷徨わせていた。 濃厚な舌戯にたやすく陥落した高貴の姫君が、我を失って哀 れな醜態を晒す姿に、残酷な女将校は少女の愛液にヌラヌラと 濡れた真っ赤な唇に会心の笑みを浮かべつつ、更なる嗜虐の欲 求が湧き上がってくることに、自分でも驚いていた。これほど 自分を燃え上がらせる公女に、ヘルガ少佐は今まで感じたこと のない独占欲と、そして加虐の衝動にかき立てられていた。 *** 「ひああああああああああああああああああああああああああ ああっっっ!!!」 うつろな暗黒の地下に、聖少女の悲鳴が幾重にも反響し、悲 痛なユニゾンの多重唱となる。だが、その悲愴な頌声を耳にす る者は誰もいない。ただ一人、この淫蕩な声楽を演出するコン ダクターたる美貌の親衛隊少佐を除いて。 「うふ、ふ、ふふふふ、うふふ…」 ヘルガ少佐は瘧でもおこしたかのように、手にした燭台を細 かく震わせた。そのせいで、狭い牢獄の中を照らす蝋燭の炎が 小刻みに揺らぎ、まるで映画のフリッカーのように瞬いた。血 のように赤い蝋燭のオレンジ色の灯に照らされた聖なる公女は、 世にもおぞましい拷問にかけられていた。 「…っうう、うはあっ、ぐ…ぐうううっ…っ!!いいやあああ ああっ!」 雅な楽器のごとき繊細な悲鳴をあげるクラリス姫は、過去の 人々が愚かしい邪念に駆られて創り出した禍々しい器械に捕ら われている。 全裸のクラリスは後ろ手に手錠をかけられたうえ、両足首に も同じ鉄枷をはめられていた。そしてその縛められた両脚は折 り曲げられ、手錠と足枷の両の鉄鎖を交叉させられたため、公 女はエビ反りに拘束されてしまっていた。 その痛々しい姫君を責め苛むのは、…かつて魔女を尋問する ために使ったのか、権力争いに関わった女たちを痛めつけるた めに使ったのか、それともこの城のかつての主がよこしまな欲 望を満たすために使ったのか…、いずれとも知れないまま闇の 中に隠匿されていた、見るからに怖ろしげな三角木馬に他なら なかった。 頑丈な黒檀で作られた木馬は、埃を拭われると全く風化の痕 跡すらなく、黒光りする木理は新品同然だった。だが、三角形 に組み合わされた鞍部の板は、果たして何人の女たちの淫液と 血を吸ったのであろうか、その部分だけがさらに黒い染みが広 がっていた。 その鋭角の木馬の背に、この城を統べた当主の末裔たるクラ リス姫が今や跨らされているのは、あまりにも皮肉なことであ った。因果応報、という言葉もあろうが、それはこのクラリス の無垢な魂を思えばあまりに酷と言えるはずだ。 両手足を背後で拘束された公女は、何の抵抗もできず女将校 に抱え上げられるや、なすすべもなく三角木馬の稜線に乗せら れ、無防備に晒された秘所を食い込ませていた。 「あっ、あひぃっ!ひ!いううううっ!」 骨董ものの歳月を経た代物ではあるが、わずかにギシギシと 軋む音がする程度で、頑丈な三角木馬はびくともせず、可憐な 少女に淫猥な拷問を加え続ける。 生まれてこのかた味わったことのない、屈辱に満ちた激痛を 股間に受けて、クラリスは耐えられずに悲鳴をあげ、上半身を くねらせ悶絶していた。拘束された両手両足を一つに繋ぐ二本 の鎖が、ヤスリのように木馬の稜線にゴリゴリと擦れ、傷をつ けた。しかし、クラリスの敏感な花弁には逆に、三角木馬の鋭 利な角度が激しく食い込んでいく。桜色の襞肉を切り裂き、奥 へ奥へと侵入してくる山型の鞍は、まだ幼さの残る少女の肉体 を容赦なく痛めつける。華奢な少女とはいえ、この体勢で自分 の全体重が一点にかかれば、しかもそれが全身で最も敏感な一 点であれば、この高貴な乙女があられもない悲鳴をあげてのた うつことに、慎み深さの欠如を非難するわけにはいくまい。 「ひうっ、う、うう、うあ、あああ…っ!」 自分の全身がミシミシと軋みをあげる響きを感じ、クラリス は必死になって身体を浮かし、三角木馬の頂きから逃れようと する。だが、あまりにも使い込まれてきたせいか、三角木馬の 稜線は直線になっておらず、中央がへこむように微妙な弧を描 いていた。ゆえに、前後に身体をずらして鞍から下りようとし てもこの傾斜を越えることは不可能だったのだ。 クラリスはその事実に絶望しつつも、必死に身をよじった。 太股を締め、膝を板に押し当てそれを支点にし、僅かなりと秘 所に加えられる痛みを軽減しようとする。だが、使い込まれた 三角木馬はすべすべに磨き込まれており、公女が助けを乞いた い摩擦係数は限りなく低い。そして同時に、折り曲げられた膝 を必死に滑る板に押し当てているうちに、ちょうどその部分が 微かにへこんでいることに気づき、クラリスは慄然としてさら に悲鳴をあげた。 その時、三角木馬がガタンッと鳴って軋みながら揺れた。そ の振動で、かろうじて保っていた微妙な姿勢も崩れ、膝が滑り、 公女の敏感な花弁を抉るように三角木馬の鋭角が再び食い込ん だ。 「あきゃあああえううーーっ!」 文字通り絹を引き裂くがごときの悲鳴が響き渡る。栗色の繊 細な髪を振り乱し、端正な顔をしかめて絶叫するクラリス姫の 裸身が蝋燭の灯りに照らされ、滴る苦痛の汗が身悶えするたび に煌めきながら宙を舞うさまを、親衛隊美女は恍惚としてまば たきすることも忘れて見入っていた。矜り高き高貴の姫君を思 うがさまにいたぶり、苦痛と屈辱を与え、そして何者にも指弾 されることもなく己の欲望…美しい少女を加虐的な性の対象に する欲望を満たすことのできる権力に、ヘルガ少佐は酔いしれ ていた。 自らの手で処女を奪い、性の絶頂を強制的に味わわせ、しか しなおも屈服せずに誇り高い瞳の輝きを失わないプリンセスに、 更なる絶望と苦痛を与えるべく、美女将校は再び三角木馬の前 足の出っ張りに足をかけると、再度大きく踏み込んだ。この木 馬の四脚は左右に反り返った垂木を踏んでおり、弾みを付ける と小さく前後に揺れて、犠牲者の苦痛を増すようになっている のだ。 木馬の揺れに、三角の責め板はさらにクラリスの秘所に食い 込み、今にもその柔肌を真っ二つに引き裂かんとする。 「いやあああっ、いやあ、お願い、お願いぃ、もう許してええ えっっ!!!」 ギリギリと骨まで響くあまりの激痛に、ついにクラリスは涙 を流しながら哀願を始めた。だが、冷酷な女将校は、今にも心 が折れそうな姫君をさらに絶望の深淵に追い込んでやろうと、 三たび三角木馬を蹴り揺らした。 「…っ!!!」 無慈悲な振動に、今度は悲鳴もあげられず、クラリスは激痛 に息を詰まらせ、思わず上半身を反らして身悶えした。ぷるん っ、と揺れた豊かな乳房からも、滲んだ脂汗が飛び散る。黒光 りする木馬に裂かれるような白い双臀も、汗に濡れて赤く火照 っている。 身を反らした勢いで、陰唇の奥にまでさらに深く稜線に侵入 されてしまったクラリスは、あまりに敏感な痛みから反射的に、 上半身を逆に前のめりに倒そうとした。しかし両手首と両足首 を繋ぐ二本の鎖のせいで身体を折り曲げられず、中途半端に前 屈みになったクラリス姫の全身をまた新たな激痛が走り、脊髄 を突き抜け脳天にまで達した。三角木馬の切っ先が、鋭敏にな りすぎて充血しきったクリトリスを直撃し、真っ二つに割って しまいそうなほどの勢いで突き立ったのである。 「ひいっ!あううっ!あああああああっ!」 これまでにないほど激しい痛みにビクンッと全身を痙攣させ、 再度のけぞってしまったクラリスは、今度は秘所の柔肉だけで なく、アナル深くにまで三角木馬の暴虐を許してしまったので ある。 「!っぎゃあ、あああああ、くああああっ…っん!!」 身体を前後どちらに傾けようと異なった激痛に襲われ、逃げ 場を失った公女はパニックに陥り、激しくかむりを振って絶叫 しながら、空しく救いを求め続けた。 「う、うふふ、ふふふふっふふふふ…」 被虐の姫君の痴態に、ヘルガは含み笑いを押さえきれず、こ の哀れな生贄をさらに嬲り尽くしたい欲望に全身を震わせてい た。身体の奥から湧き出てくるサディスティックな衝動にかき 立てられ、断罪の執行人と化した女将校は、手にしていた燭台 をわなわなと震わせながら苦悶する美少女に近づけていた。 「!!…ひああっ!ぎゃああああああああっ!!!!」 この世のものとも思えぬ、血を吐くような叫び声が地下牢に 反響し続けた。クラリスは何が自分に起こったのかすらわから ぬまま、新たに上半身に襲いかかってきた激痛に悲鳴をあげて いた。しかもその痛みは、いま下半身に加えられている拷問と は全く異なるものだった。恐怖に駆られて開いた目に映ったの は、鼻先寸前に突きつけられた真っ赤な蝋燭だった。 赤々と燃え上がる灯の残像が網膜に灼きつく中、その深紅の 蝋がとろけ、まるで血の涙のようにゆっくりと垂れ、そしてち ぎれるように落下していき…。 「っ!!いやああ、いやあっ!いやああああううっ!!!」 クラリスの白い乳房の上に、赤い華が二輪咲いた。だがその 花は甘い香りの代わりに突き刺すような激痛をもたらす高熱を 帯びたまま、哀れな令嬢の柔肌を苛烈に責め苛む。気化する蝋 の噎せ返る甘い匂いがくすぶり、そして少女に長く後を引く激 痛を与えつつ、蜜蝋の紅い薔薇はゆっくりと公女の白い肌に固 化した。 「美しいわ、クラリス姫。今のお前にふさわしい、淫らな化粧 を施してあげるわね」 憑かれたように呟きながら、ヘルガ少佐は燭台を高く掲げ、 まるで鐘を鳴らすかのように手を振ると、まるで洗礼の聖水の ように、悶絶する全裸のクラリス姫の上半身に灼熱の赤蝋が降 りそそいだ。 「いやっ、いやあああっーーーーっ!!やめてえっ!死んじゃ うぅぅっ!!!」 悪意の桜吹雪を浴びたクラリスが激痛に身をくねらせて抗う が、薄笑いを浮かべる親衛隊美女の燭台を掲げる手は、少女の 身体の動きに合わせて付いていくことをやめない。少女の乳房 の上に冷えて固まった蝋の花の上に、さらに新たな溶けた蝋が 加わり、鮮やかな花弁を増やして咲き誇る。 「ひィいいいーーーーーーっ!!」 公女の悲鳴が引きつけのように空気を裂いた。熱蝋に悶絶さ せられ激しく上半身をのたうったために、そのはずみで下半身 にはさらに三角木馬の稜線が食い込んでいく。すでに両脚に力 を入れて身を浮かせることなどできようはずもなく、クラリス は全くの無抵抗状態で、三角木馬と蝋燭責めの二通りの拷問を 甘受するしかなくなっていた。そんな公女にできることは、悲 鳴をあげて苦痛を訴えることだけだった。しかしその声も、サ ディズムの悦楽に浸るヘルガ少佐にとっては、耳に心地よい佳 音にすら聞こえていた。 「さあ、もっと啼いて、もっと歌いなさいっ、絶望と、そして その彼方にある快楽の歌をっ!」 感に堪えたように、加虐の美女は燭台を左手に持ち替えると、 腰に差していたあの乗馬鞭を引き抜いた。そして、魔女の汚名 を着せられた絶望の少女を斬首するかのように振り上げた。 バシイッッ!!!!! 「ひあうっ!!!」 鞭の一撃を背中に受けたクラリスが、引きつった悲鳴をあげ て身をのけぞらせたところに、間髪を入れず、その真っ赤な薔 薇を幾輪も咲かせた乳房に向かってヘルガ少佐が再び鞭を振り 下ろした。 「はあうっうううっ!!」 強烈な打撃に、白い肌にこびりついていた蝋がぼろぼろと弾 かれ、まるで花吹雪のように乱れ散った。紅蝋が剥がれたあと の公女の肌が蝋の熱で火照って、その上を鞭の痕がさらに紅く 染めた。背中と乳房を交互に痛めつける親衛隊美女の乗馬鞭に、 クラリスは息を詰まらせてくぐもった嗚咽を漏らす。三角木馬 の鋭角はますます秘所を断ち割らんばかりに食い込んでくる。 高貴の美少女に、これでもかと三重の苦痛が間断なく襲って いた。 「あううっ、あう、うううっ…はああっ…ひぐぅ!」 冬の紅葉の如くに紅蝋の花が全て散っても、公女の玉の肌は 今度は鞭の痕で腫れあがっており、その痛みにクラリスはぐっ たり前のめりに倒れ込みながら、虚ろな瞳を宙に漂わせ、ぜい ぜいと荒い息を吐き続けていた。 このまま意識を失っていれば、まだ幸せだったかもしれない。 しかしそんなことは、この残忍な女将校が許しはしなかった。 蝋が全て剥がれ落ちたと見るや、ヘルガ少佐はまたも燭台を 持ち替えると、力尽きかけた哀れな全裸の少女に再び熱蝋を降 り注ぎ始めた。 「ぎゃあっ!あああうっ!…いやあっ、もういやああっ!助け て、助けてえええっ!!」 公女の柔肌に再び紅薔薇が咲き誇り、そしてまた鞭の打擲が その花弁を散らしていく…。 食い込み続ける三角木馬の上で、滴り落ちる高熱の紅蝋と、 そして非情の鞭の乱打が、何度も何度も繰り返された。プロメ テウスの劫罰のごとき無限の責め苦に、クラリスはただ悲鳴を あげて苦痛に身をよじり、その身を支配している悪魔の美女に 被虐の供物を捧げるしかなかった。 果てしない拷問は、クラリスから時間の感覚と共に、人間と しての矜持全ても奪い去ろうとしていた。 「ほおら、クラリス…。もうじき、もうじき目覚めるわよ…。 お前の中の、淫らで、賤しい欲望の真の姿がね…」 自分だけの奴隷を肉体的に追いつめたことを悟ったヘルガ少 佐も、顔を紅潮させ息を荒くしながら、さらに己の目論む境地 にまで公女を導こうと、鞭の手を休めず打ち続ける。 「はうっ!ああああううっ!」 鞭の一撃のたびに発せられるクラリスの呻きの響きが、クラ リス自身にもわかるほどに変わっていた。 『うそ…わたし、私…、そんなはず…こんなことって…あああ』 後世ならば、これが外部からの苦痛に対して、これを軽減し ようと人間の脳が自己防御として分泌するβエンドルフィンの 作用であると分析することもできただろう。だがこの状態で、 クラリスは自分の肉体が意に反していったいどうしてこんな反 応を示すのか、全く理解が及ばなかった。 三角木馬が食い込む秘所の激痛の奥から、何か別の熱いもの が脹らんでくる。 鞭と熱蝋に痛めつけられて赤く腫れあがった乳房が、ズキズ キと疼く。 そして、苦痛に何も考えられなくなってきた頭の中が、霧が かかったようにぼんやりとなって、しかも昂揚していくのだっ た。 そんな自分に、一瞬恐怖すら感じるクラリス。 「痛いのね、苦しいのね…。でも、別のものを感じてきている のでしょう?かわいいわ。さあ、苦痛と恥辱を突き抜けて、悦 楽に身も心も屈しなさいっ!」 公女の乳首を狙った鞭の乱打に、クラリスははっきりと悟っ た。自分が、絶頂を迎えそうになっていることに…。 「いやあああっ、こんなの…はふああ…あ…だ、だめえええっ!」 自分の肉体の火照りを否定しようと、身をのけぞらせて叫ぶ クラリスの目の前に、あの真っ赤な蝋燭が突きつけられた。そ の炎の向こうでヘルガのゾッとするような笑みが見えた…その 刹那、傾いた蝋燭の芯から悪魔の涎のような赤い滴がゆっくり と垂れ…。 「いっ!」 この上もなく正確に、三角木馬にいたぶられて腫れあがって いたクラリスの肉芽を、熱蝋が直撃した。 「ゃあああああああああッ!!!!!!!!!!!」 脳天に突き抜ける激痛と共に、クラリスの全身を電流が引き 裂き、そして内奥の何かが激しくはち切れた。打ちのめされた 公女の秘部から溢れ出た蜜が白濁しながら、陰唇に食い込む三 角木馬の稜線を濡らし、そして太股に沿ってぬるりと垂れ落ち ていく。 「う、うふふふ、ふふふ」 虚脱しきって恍惚の表情すら浮かべ、喘ぎながら引きつった ように痙攣するクラリスの姿に、ヘルガ少佐は喜悦の声をあげ た。 「イッちゃった、イッちゃったのね…。三角木馬に乗せられて、 蝋燭責めされて、鞭で打たれてイッちゃったのね?」 クラリスの髪を掴んで上に引き上げて、汗と涙とよだれでぐ っしょりと濡れた顔を覗き込む。 「マゾのお姫さまなんて、変態そのものね!変態!」 その声に、弱々しくも否定しようとする公女は、しかしもう 呻き声しか唇から漏れない。 「元になんか戻れはしないわ。お前は永遠に肉奴隷となって生 きるしかないのよ。この私のね…」 地獄の支配者の声が、クラリスの脳裏をどす黒く染めようと していた。 *** ようやく拘束を外されたものの、力を失った四肢をだらりと させたまま、クラリスの身体はどさりっ、と石畳に崩れ落ちた。 鞭と蝋燭で全身をくまなくいたぶり尽くされた無垢だった公女 の裸身は、今や乗馬鞭のミミズ腫れと、そして熱蝋による低温 火傷とで、赤黒く斑に染まっていた。 無意識に自らを殺し、無機物となって、この責め苦を忍ぼう とするクラリス姫は、しかしなおも幼くも艶めかしい少女の青 い肉体を否応もなく晒している。焦点の定まらないその青い瞳 は、虚ろに宙を泳いでいた。繊細な栗色の髪は、ぐっしょりと 汗で濡れて練絹のように艶めいていた。 涙にむせぶ声が混じる喘ぎ声は、まるで救いを求める殉教者 のように、必死で息を呑み込もうとしていた。 『…魔女』 クラリスの脳裏に、その言葉がぽつんと浮かんだ。だが、そ の言葉が何を指すのかは自分でも判然としない。この残虐な拷 問吏を演じる美貌の女将校への憎しみがその言葉を生んだのか、 それとも、想像もつかなかった拷問をその身に受けた我が身を 魔女狩りの犠牲者になぞらえたのか。いたいけな公女自身にも、 わからなかった。 ふと見ると、ヘルガの姿がなかった。牢の扉も僅かに開いた ままで、漆黒の廊下から冷たい風が流れ込んできている。鍵を 開けたままで、ヘルガ少佐はどこかに行ってしまったらしい。 一瞬、脱出の機会を公女も考え、目を見開いた。だが、すぐ にその目は濁ってしまった。 この地下牢の扉の向こうに足を踏み出したところで、どこに 逃れることができるだろう?この城は占領され、外部に通じる 橋は一本しかない。それに、ここが居城であるとはいえ、クラ リス自身ここに幽閉される数日前まで、こんな地下の階層に足 を踏み入れたことすらなかったのだ。迷宮のような城の地下を、 灯りもなくさまよったところで、脱出は不可能であろう。まし てや、今のクラリスは親衛隊美女の苛酷な責め苦に全身を痛め つけられたばかりで、立ち上がることすら覚束なかったのだか ら。 再び目を閉じかけたクラリスの耳に、何かが遠くから聞こえ てきた。何か、もがいている声のようにも聞こえる。そしてや がて、わずか二日にして聞き慣れてしまった、あのヘルガ少佐 の軍靴のヒールの音。 床に突っ伏したまま、それでも反射的に身を固くしたクラリ スが顔を上げたとたん、公女は信じられないものをそのスカイ ブルーの瞳に焼き付けてしまった。 親衛隊高級将校ヘルルーガ・イルムガルト・デア・フォーゲ ルヴェヒター特務少佐が、相変わらず眼鏡の底に視線を沈めた まま、その真っ赤な唇に歪んだ笑みを貼り付けて、囚われの公 女を見下ろしていたのは、いつもの出で立ちと大差は無い。だ が、その手にしていたのはあの乗馬鞭でも、さっきまで使って いた深紅の蝋燭でもなかった。 闇の中に、何かが蹲っていた。その何かが、妙にくぐもった 唸り声を漏らしている。 明らかに生きものであるその「モノ」に繋いでいた革紐が、 ヘルガが乗馬鞭の代わりに手にしていた物だった。それを親衛 隊美女はぐっと力を込めて、地下牢の灯りの射す場所まで引っ ぱり出したのだった。 それは、大きな黒犬だった。 闇に溶けるような黒一色の大型犬は、口枷を嵌められていた ために吠えられないようになっていたが、それでも喉に響くよ うな吠え声が漏れてくるのは、その犬が異常に興奮していたせ いだった。目は血走り、耳をピンと立て、短い尻尾を振り、せ わしなく脚をジタバタさせている。枷の嵌った口元からは、は み出た犬歯から涎がだらだらと流れ落ちていた。そして異様な 前傾姿勢をとっていて、今にも襲いかかってきそうな風情であ る。 その真っ黒いボクサー犬の姿を見た途端、クラリス姫は思わ ず叫んでいた。 「…カール!カールっ!!」 その犬は、公女がまだ幼い頃から大公家に飼われ、クラリス 以外の人間には決してなつくことの無かった忠犬だった。外見 は獰猛だが実際はおとなしく、しかもすでに老犬の域に入って いるはずの大型犬は、しかし今は全く違った姿を見せていた。 いつもの緩慢な動作とはうってかわり、まるで野生の猛獣の ように激しく、荒々しく、我を忘れたようにのたうっている。 見なれた愛犬の異様な変容に、クラリスは凄まじい恐怖を覚 え、背筋に冷たいものが走った。 「カールっ、カール、どうしたのっ?!…あなたたち、カール に何をしたのっ!??」 キッと視線を上げた公女に、老犬は充血した目玉を向け、口 枷の隙間から漏れる吠え声を漏らすばかりである。 「ぐおっ、ぐおおっ、…ぐううおうっ!」 「…帝国軍の新薬実験の被験者になってくれたこの子に、ご褒 美をあげようと思ってね」 ヘルガ少佐が無表情にそう言うと、猛犬の口枷のベルトを外 した。滝のように濁った涎が溢れて床にこぼれ落ちると同時に、 凄まじい咆哮が轟き、地下牢の内部に反響した。 「バウッ!バウウッ!!バウバウッ!バウッバウウウウウ!! バウバウバウ!!!!!」 唾液を撒き散らしながら鋭い犬歯を剥き出しにして、長年守 ってきた主に吠えかかる老犬の変貌ぶりに、クラリスは言葉も なく恐怖に凍りついた。 公女が幼い頃は精悍だった猛犬ではあったが、近年はすっか り日がな一日寝ていることが多くなって穏やかになっていた。 その愛犬が我を忘れ、忠誠を寄せていた飼い主を見分けるこ ともできないほど昂奮して、野生に返ってしまっている姿は、 あまりにも異常としか思えなかった。 「苛酷な戦場では、兵士の抑圧された潜在能力を引き出すため に、興奮剤は有効な手段なのよ」 放っておけば滅茶苦茶に暴れ出しそうな猛犬を、首紐を引い て制御する親衛隊美女が唇を歪めて笑う。 「…でも、ちょっと効き目がありすぎたみたいねえ、うふふふ ふふ…」 その言葉に、愛犬が薬物を投与されて無理矢理に発情させら れていることを、クラリスは悟った。そして、ヘルガが言った 「ご褒美」の意味に気づいたのと、暴れ出しそうな猛犬の股間 に屹立する陽根が公女の視野に入ったのはほぼ同時だった。 「……いや…いやあ……いや、いや、いやいやあああああああ ああっっっっっっ!!」 おぞましい恐怖に全身を硬直させて、その端正なかんばせを 歪ませたクラリスが、文字通りに絹を引き裂くがごとき甲高い 悲鳴をあげた。そして、拷問に力を失っていた四肢を必死で動 かし、這って逃げようとする。 だが、あまりの恐怖に下半身の力が再び抜けてしまい、ほと んどその場から移動することはできない。腰を抜かしている自 分を無様だと思いながら、公女は迫り来る獣欲の塊に再び絶望 の悲鳴を発した。 「いやあああっ!やめてカール!やめてえ!お願い、私がわか らないのっ?カールうっっっ!!!」 「がうっ!ばううっ!!!ばうがうばううばうばうっっ!!」 クラリスの哀願にも、欲望に猛り狂った大型犬は全く言うこ とをきかず、ボクサー犬独特の前傾姿勢をさらに強め、股間の 男根を振り回して暴れるばかり。 「あらあら、久しぶりに若返って、メスと交尾したくてたまら ないみたいねえ、この犬」 透明なほどに冷たい響きの声で、ヘルガ少佐が屈み込んで、 吠える猛犬の首輪に触れた。 「やめてっ!後生だからそれだけはっっ!!」 涙にむせびながら、公女は必死で人間の尊厳すら失いかねな い危機を避けようと、無益に懇願する。 「ダメよ、飼い犬の世話をするのは、飼い主の義務よ。ちゃん と、欲望の処理もしておあげなさい」 その言葉にさらに泣き叫ぶクラリスに、ヘルガは声を潜めて 言った。 「それとも、『秘密』を教えてくれるのかしら?」 はっとしたクラリスが顔を上げた。 「そ、それは…」 「はい、時間切れ」 一瞬の逡巡をあざ笑うかのように、ヘルガは公女の返事を聞 く気もなく、いきなり吠える黒犬の首輪から、革紐の金具を外 してしまった。 いましめを解かれたカールは、野犬同然に凄まじい勢いで、 倒れ込んだままの飼い主の裸身に向かって突進していった。 「きゃあああああああああああああああっっ!きゃあああああ ああああああっっっっっっ!!」 黒い猛獣に飛びかかられ、激しく打ち倒されたクラリスは、 さらに甲高い悲鳴をあげ続け、必死で身を守ろうとのたうち回 った。だが薬で昂奮した猛犬の勢いには抗うこともできない。 全身を煮えたぎらせた黒犬の体温が、滑らかな黒い毛皮ごし にクラリスの素肌に伝わってくる。流れ落ちる犬の涎が、背中 に、肩に、乳房にとあたり構わず降り注がれる。激しい息遣い が、破鐘のようにクラリスの耳に響く。 全てが生理的な嫌悪感となって、高貴な16歳の美少女の全 身を塗りつぶしていった。 欲望に支配されたカールは、いきり立った肉棒をメスの胎内 にねじり込み、精をぶちまけることばかりに焦っていた。倒れ たクラリスの背後からのしかかる体勢になることに成功すると、 駆り立てられるかのようにいきなり腰をカクカクと機械人形の ように使い始めた。 だが、異類である人間の少女が相手ではあまりに勝手が違い すぎたらしい。黒犬は勃起した肉棒の狙いをなかなか定められ ず、空しく先端を公女の白い双臀に何度もぶつけるばかりだっ た。その度ごとに灼熱の焼きごてを当てられるかのような感覚 に襲われ、クラリスはパニックに陥った。 「いやあああ、いやあああああ、助けて、やめて、やめてええ えっ!!ひあああああああっっっ!!」 獣姦の背徳感に、恐怖にとらわれて抗い続けるクラリスに、 黒犬は飽くこともなくのしかかったまま挑み続ける。その様子 を、なぜかヘルガは無言で無表情のまま見つめていた。だが、 そんな女将校のことなど、飼い犬に強姦されそうになっている 公女には気にかける余裕すらなかった。 「お願い…神様…」 三角木馬と蝋燭の拷問で苛まれたばかりのクラリス姫には、 すでに猛犬の獣欲に逆らう余力は残っていなかった。ついに手 足の力を失ったうつぶせのクラリスに、ボクサー犬は完璧な交 尾の体勢を作り上げた。 さんざんに嬲られて腫れあがっていたクラリスの秘所に、犬 の男根の先端が押し当てられた…。 『私、…犬に犯される…。もう、ほんとうに何もかも…。お父 さま、お母さま、ごめんなさい…もう、私は……。ごめんね、 ラナちゃん…』 絶望と諦観の入り混じった、悲痛な表情を浮かべるクラリス は、今、その飼い犬に犯されようとしていた。 その時。 「−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−………ンンン ンンンンン!!!!!!」 何が起こったのか、クラリスにはわからなかった。 世界が崩壊するかのような、凄まじい轟音が、狭い地下牢の 中の空気を極限まで揺らした。衝撃で耳が一瞬聞こえなくなっ た。 振り仰いだクラリスの顔に、熱い液体が降りかかったのが感 じられた。そしてクラリスの目には、ヘルガ少佐が愛用の新式 ダブルアクションの優雅な拳銃を向けている姿が見えたのであ る。 そしてその銃口からは、微かに硝煙が立ちのぼっていた。 それを目にしたと同時に、クラリスは背中がひどく重くなっ たのを感じた。熱いものがさらに広がっていくのを感じた。 「……っ、カール!!」 思わず叫んだクラリスが、力を振りしぼって上半身を起こし、 今自分を凌辱しようとしていた愛犬に顔を向けた。 大型の真っ黒いボクサー犬は、その眉間を正確に撃ち抜かれ ていた。血走っていた目はすでに生気をなくし、力を失った口 から、だらりと長い舌が垂れていた。クラリスが感じていた熱 いものとは、飛び散った愛犬の血と脳漿だったのである。 「………きゃあああっっ!!きゃあああああっっっ!!!きゃ あああああああああああああっっっ!!」 気高い公女は、もう耐えられなかった。愛犬に犯されそうに なった恐怖と、その愛犬を一瞬で殺された悲哀に引き裂かれた クラリス姫は、ただひたすら絶叫するばかりだった。 狂ってしまいそうな自分を、しかしクラリスはなぜか自覚す らしながら、現実感から遊離したこの状況に泣き叫んだ。愛犬 の死骸からはなおもドクドクと熱い血が流れていた。その血飛 沫で上半身を真っ赤に染めて、公女は我が身を呪い、愛犬の撃 ち抜かれた頭部を胸に抱いたまま、悲鳴を絶望の地下に響かせ 続けていた。 「…」 親衛隊特務将校であるヘルガ少佐は、しかし身じろぎもせず に見つめていた。 自分で獣姦をけしかけておきながら、結局自分で犬を射殺し たのは、気まぐれだった。だが同時に、寸前まで貞操を犬に奪 われそうになりながらも、その犬の死を嘆くクラリス姫を見つ めるうちに、ヘルガは自分自身に違和感を感じだしていた。 だが、その感情のゆらぎは、やはりあの眼鏡の陰に隠したま まだった。
続く
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