サード・ジェネシス
第7話
「いい質問だわ」 ミサトがそう言ってレイを見つめた。 「レイはどんな服が好き?」 恥ずかしげに笑みを返すレイ。 「そういうの、よくわからないから」 「じゃあ、これから洋品店を襲撃ね」 アスカが言う。 「そして、レイにはいろんなものにトライしてもらうわ。自分 で決められるようになる第一歩よ」 「最初から決めてたみたいだけど」 ミサトも同意した。 *** マヤが車のエンジンをかけながら、意見を求めたそうな顔で 笑みを浮かべてリツコを見やった。 リツコはニッコリ微笑みを返した。 「さ、行きましょう」 *** 「まいっちゃうなあ」 更衣室から学校の制服に着替えて出てきたレイに、アスカは やれやれと呟いた。最初は前と同じサイズの服を渡したのだが、 それが合っていないのは明らかだった。 レイは短すぎるスカートを意識してきつく締め、さらにブラ ウスのボタンがはじけ飛ばないように大きく息を吸わないよう に気をつけなくてはならなかった。 ミサトは笑い転げ、リツコとマヤも吹き出さないように必死 だった。 「もっと大きいサイズじゃないとダメね」 アスカがやっとのことでそう言った。 「ありがとう」 レイはほっと息を吐いて、更衣室に戻った。 「ごめんごめん」 やっとミサトの笑いがおさまった。 首を振るアスカ。 「大の大人が、かんべんしてよ」 そしてマヤを見やって、 「マヤさんに何とかしてっていうわけじゃないけどさ」 素直に頷いたマヤだったが、その目には楽しそうな輝きが光 っていた。 「でも、これが水着選びじゃなくてよかったわね」 いきなりアスカの脳裏に、水着がはじけて胸ポロリになるレ イの姿が浮かんで、アスカはのぼせたように真っ赤になってし まった。 『面白い、すごく面白いわ』 そう思ったリツコだったが、声を高めて言った。 「さあ、別の制服を持ってきてあげましょ。それと、スラック スとシャツもね」 「そうね」 笑いながらミサトは、更衣室に向かって呼びかけた。 「レイ、服の色は何がいい?」 全く無頓着に、レイが更衣室の扉を開けた。 「白と青」 「ちょっとおっ」 悲鳴をあげたアスカが、慌てて素っ裸のレイに背を向けた。 リツコが飛び出して、バタンと扉を閉める。 「わ、わかったわ」 そしてミサトに小声で言う。 「レイには女性の恥じらいってのをちゃんと教えなきゃならな いわね」 「同感だわ」 そう言ったミサトは、顔を赤くしているマヤとアスカに気づ いた。 「リツコはマヤちゃんをお願い。私はアスカと」 「わかったわ」 頷いたリツコは、マヤの手を引いた。 「さあ、レイに試着してもらう服を探しに行くわよ」 「わかりました、先輩」 どもりながら答えるマヤ。 「アスカは大丈夫?」 ミサトはアスカに歩み寄った。 「ごめん、ちょっとびっくりしちゃって」 アスカは冷静に答える。 「たぶんこのままだとずっと同じ事を繰り返すわ、あの子」 ミサトはため息をついた。不思議そうに見上げるアスカに、 ミサトが説明する。 「どうやら碇司令は、レイの記憶にエヴァやネルフのことはイ ンプットしたようだけど、社会の常識みたいなものはすっかり 無視したんだわ」 「前のレイと同じね」 呟くアスカ。 だがミサトは首を横に振った。 「ううん、前のレイにはまだ恥じらいはあったわ」 考え込んだ顔のミサト。 「だけど、レイがタオル一枚の格好でシンちゃんに心的外傷を 与えたことがあったっけか」 「…また想像しちゃったじゃないのよ」 アスカがもごもごと呟いた。
続く
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