榊さんの弱点

第5話

  

 首筋に神楽がキスするたびに、榊の肌がびくんと震える。神
楽の熱い唇が撫でるように触れると、榊の感覚は昂ぶり、まる
で宙を漂うような気分になった。

 首筋に熱いものがこぼれ落ちたのを感じて、榊はやっと目を
開けた。振り返ってみると、神楽の頬に涙が幾筋も流れ落ちて
いた。榊の全身に疑念が一気に駆け抜けた。

「…どうした?」
 弱々しげな口調で榊が訊いた。

「な、なんでもない…」
 神楽は微かな笑みを浮かべ、ごしごし目をこすった。
「ただ…こわかったんだ…」

 神楽の言葉に困惑して、榊は小首を傾げたが、口を挟まずに
神楽の言葉を待った。

「こわかったんだ…榊が受け入れてくれなかったらどうしよう、
って。榊のこと、ずっと見ていた。あこがれてた」
 一瞬言葉を詰まらせ、また続ける。
「あたしは、ずっと自分のためだけに身体を鍛えてきた。でも、
気がついた。同じくらい、榊に自分のことを気づいてほしかっ
たんだ。あの、体育祭の日、榊に追い抜かれて、あたしは泣い
た。一生懸命にやったのに負けたからじゃない。あたしが榊に
とって何の意味もないって思い知ったからだった」
 神楽は大きく溜息をついた。
「バカみたいだけど、その時はそう思った。榊がいつもかおり
んにつれなくしてるのを見てたし」

 榊はきょとんとした。
「かおりん?」
 神楽の言葉に榊はまた戸惑うしかなかった。

 何も思い当たらないといった榊の様子を冗談だと思い込み、
神楽は笑い出しそうになった。だが榊の目が真剣なことに気づ
くと、神楽はあわてて手を振った。
「き、気にしなくていいから…。たださ、こうして榊と一つに
なれてホントにうれしくて、つい泣けてきちゃったんだ」

 榊は口元に笑みをほころばせると、神楽をぎゅっと抱き寄せ、
互いの裸身を密着させた。神楽は両手を伸ばしてご主人様を抱
きしめて目を閉じ、全身に穏やかなものが広がっていくのを感
じていた。

 榊はゆっくりと顔を上げると、神楽と目を合わせて囁いた。
「神楽は私の仔猫なんだから。こわがることなんかない…」
 そう言いながら、榊は神楽にもう一度口づけした。

 次の瞬間、榊の部屋の時計が、一時間ごとのアラームを一回
鳴らした。榊はキスをやめて振り返り、時計を見た。

「あと一時間もしたら、うちの親が帰ってくる」
 静かな声でそう言って視線を戻した榊に、神楽は口元にイタ
ズラっぽい笑みを浮かべていた。

「じゃあ、あんまり時間はないね……にゃあ〜ん…」
 神楽はのどを鳴らしながら舌を榊の首筋にそっと這わせ、手
を伸ばして榊の乳首をきゅっと摘むと、榊がぽっと頬を紅潮さ
せた。
「仔猫はご主人様にとってもイイことしてあげたいんだ…この
日が絶対忘れられなくなるようにさ…」
 そう囁きながら、神楽が榊の乳首をクイッと引っ張りパッと
離すと、榊は引きつった声を上げた。

「わ、悪い仔猫ちゃん…」
 榊は息を詰まらせたが、やめさせようとするそぶりも見せな
い。

 神楽はふざけてクスクス笑いながら、そっと指先を榊のお腹
に滑らせた。その手を止めると爪先で榊のへその周りをなぞり、
さらに下に進んでいく。そして指先が榊の濡れそぼったヘアを
かき分けた瞬間、榊の乳首がまた固くしこったのが神楽にもわ
かった。そして、神楽の手の動きにご主人様が漏らす呻き声が、
神楽の身体を更に熱く火照らせた。

「にゃああん…、ご主人様のぴちぴちのおまんこ、こんなに濡
れてる…。もっともっと、仔猫にいじってほしい…?」
 神楽は榊の耳元に囁き、耳たぶを甘噛みした。

「う、う、うん……」
 榊は顔を真っ赤にして、全身を震わせながら身悶えした。降
参した榊はただしきりに頷くばかりで、熱く火照ったアソコを
神楽にもっといじってもらいたいとせがんだ。

 神楽は指を榊のヘアにしばらく絡ませていたが、やがてさら
に下の方に滑らせ、そしてすでにぐしょぐしょの肉襞に沿って
指を二本なぞらせた。この動きに榊は喜悦の悶え声をかすかに
上げ、反射的に神楽の首筋に顔を埋めた。神楽は自分の唇をペ
ロッと舐めて、さらに指でご主人様を責め続けながら、互いの
両脚をこすりあわせた。
 そのおかげで榊の内股は愛液に濡れ、それを潤滑油にして神
楽の指は榊のアソコを上下に滑らせた。榊の吐息を首筋に感じ
ていた神楽だったが、いきなり榊が口を開いて神楽の首筋に思
いっきり噛みついてきたのは予想もしていなかった。

「にゃああああああん!!!」
 悲鳴をあげて大きく喘いだ神楽の全身に、噛まれた痛みが快
感になって突き抜けた。噛みつかれた拍子に神楽は指を滑らせ、
榊のアソコにズボッと指を差し込んでしまった。

「あああうっ、神楽あ、あ、わ、私…んぐうっ、ああああっ!
ごめん…ああああんん!」
 榊は許しを乞おうとしたが、激しく指を抽送してくる神楽に、
声も上げられなくなった。

「いいよ、ご主人様…にゃあ…」
 神楽は甘ったるい声で囁く。
「いいよ、悪い猫におしおきして…んふ、にゃんん、すごくい
い…して、榊…おしおきしてえっ…あたし、みんな榊のものな
んだからあ…」

 神楽の言葉を耳にして、榊は大きく喘ぎ、両手を回して抱き
しめた。神楽の肩の肉に歯を深く食い込ませたまま、榊は神楽
の指にあわせて物欲しげに腰をくねらせた。神楽も悦びにアソ
コをジンジンさせて、熱い蜜を滴らせながら喘いだ。

「いいよ…おしおきぃ…きついおしおきしてぇ…」
 榊に囁く神楽。

 だが、神楽はいきなり自分の指を引き抜いてしまうと、それ
を口に頬張ってしゃぶった。榊は神楽に指を戻してもらいたく
て、切なさに呻いた。神楽と視線が合うと、榊は口をゆっくり
開けて、舌をだらりと垂らした。神楽は顔を真っ赤にして、口
から指を抜くと、それを開いた榊の口にゆっくり差し入れた。
 榊は反射的に口を閉じて、神楽の指二本を頬張ってしゃぶり
だした。榊に指をしゃぶらせていると、そのあまりにエロティ
ックな感覚に、神楽はまたじわじわと息を荒くし始めた。
 榊の舌がぬるぬると指を舐めていく、指の間に入り込み、絡
みついてくる。熱い口腔の中、榊の舌は神楽の指をたっぷりと
唾液で濡らした。
 神楽はどうしようもなくなって、思わず指を引き抜き、榊か
ら身を引き離した。

 榊に背を向けてのたうつように逃れようとする神楽を、榊は
凝視した。汗に濡れてつやつやの、丸みのあるぷりぷりした神
楽のお尻を、そして臀肉の間からちょっとはみ出た柔らかそう
な陰唇を目にして、榊は真っ赤になった。
 身体の位置を変えると神楽は再び我に返って、榊に顔を向け
ると、左足を抱え込むようにして膝を立てた。

 少し訝しげな顔の榊に、神楽は微笑みかけて言った。
「ご主人様と一緒に気持ちよくなりたいな…」

 そう言うと神楽は自分の濡れそぼった陰唇を榊の内股に滑ら
せだした。榊はハッと息を呑んで、神楽の熱いアソコが刻一刻
と自分のアソコに少しずつ近づいてくるのをドキドキしながら
見つめた。神楽はこれから起こる事に息を荒くさせながら、榊
の左脚を自分の右肩に載せた。
 そして最後の一押し、互いの柔肉がついに触れ合った。二人
は同事に悦楽の嬌声をあげて、至上の快感にガクンと頭をのけ
ぞらせた。神楽が腰を使い出すと、二人は一緒に濡れたアソコ
をこすり合わせた。

「か、神楽ぁ…ああっ…か、神楽のアソコが…、わ、私のアソ
コとこすれて…きもちいいっ、あああんっ!!」
 榊は必死になって神楽の動きに合わせて、更に激しく互いの
腰をすりあわせ続けながら悶えた。

「にゃああっ!ああう!は、激しすぎるう…すごいい…」
 神楽は喘ぎながら、全力を尽くして自分の身体を浮かし、し
こった肉芽を擦り合わせた。互いの肉襞が絡み合い、互いの愛
液が床にまで滴り落ち、互いのぬめぬめした秘肉がくちゅくち
ゅとたてる音が室内に満ち、少女たちの喘ぎ声と嬌声に混ざり
合った。二人とも大きく開けた口の下あごから、よだれが細く
糸を引いて垂れた。

 二人はますます腰の動きを早め、充血したアソコはぐっしょ
り濡れたために、前後にこすり合わせるのもたやすくなった。
 息を詰まらせ、もっと欲しくなった榊は、ゆっくりと片手を
伸ばして神楽の尻を掴んだ。

 神楽は引き付けたような声を上げたが、そのまま自分の濡れ
たアソコを榊に押しつけ続けた。榊は神楽の尻を掴んだまま、
更に激しく自分とこすりつけあいながら、神楽の尻の割れ目に
指を滑り込ませた。神楽の全身が汗まみれだったせいで、榊の
中指がいきなりツルッと神楽の小さなアナルに滑り込んでしま
った。
 神楽はハッと目を開け、甘い悲鳴をあげた。

「ああんっ!ご主人様あっ、にゃああっ!もっと、もっとおっ!」
 ご主人様とアソコを密着させている感触に、そしてあまりに
も奥深くまでアナルに指を押し込まれた感覚に、神楽は絶叫し
た。
「い、イカせてえっ!!イク、イッちゃううううっ!!」

「わ、私もっ!仔猫ちゃん、一緒にイこうっ!イクうううっ!」
 神楽のきつい尻穴に指を深く突っ込み続け、熱い肉襞を押し
付けあいながら、榊も叫んだ。二人の嬌声が大きく響き渡り、
神楽の全身が硬直し、ブルブル震えだした。二人とも大河の決
壊のように絶頂に達し、アソコの真下の床に小さな愛液の水た
まりが出来るほどだった。
 神楽は榊の上に倒れ込み、ぜいぜいと大きく息を弾ませなが
ら、榊の唇に甘いキスをしていった。

「ご主人様あ…」
 神楽は笑みを浮かべたまま、榊としばらくそのまま横たわっ
ていた。やがて神楽は微笑とともに再び榊を見つめた。
「ご主人様、もっとしよ…」

***

 かおりんは目の前の家を見つめた。まぎれもなくここが榊の
家。緊張してしばらく見つめるだけだったかおりんだったが、
大きく深呼吸すると、ぐっと拳を固めた。

「榊さんのお家におじゃまするんだから…」
 かおりんは自分に言い聞かせるように呟くと、凄まじい緊張
に武者震いした。玄関に歩み寄って、かおりんは手を伸ばして
呼び鈴を押そうとした。が、その前に扉がゆっくりと開いてし
まった。
 何度も目を白黒させたかおりんは、急に全身を緊張させた。
『たまたま扉を開けっ放しに?』
 しばらく躊躇していたが、かおりんは悩むのをやめ、中に足
を踏み入れた。

「ごめんください、こんにちは、榊さん?」
 そっと声をかけたかおりんだったが、その時奥から声が聞こ
えてきたような気がして、かおりんは凍りついた。

 あわてて息を殺すと、それが廊下の突き当たりから聞こえて
くるのがわかって、かおりんが忍び足で近づくと、かすかに荒
い声が聞こえてくる。

 かおりんは顔を真っ赤にした。

『榊さんが…?』

 とんでもない考えが頭に浮かんで足がガクガクしたが、さら
に声が聞こえた。

「もっと早く、突っ込んでぇ!」

 かおりんの身体が再び固まった。

『今のは榊さんじゃない、神楽さんの声!』

「榊、もっと深くっ」

 かおりんの顔が、これ以上はムリなほどに真っ赤に火照った。

『うそ、うそうそうそうそうそ!ありえない!嘘!榊さんがそ
んな!あの二人がそんな関係だなんて!』

 すさまじい恐怖と、そして怒りが同時に湧きおこり、かおり
んは榊の部屋の扉に近づいていった。

 胸の奥が不安でいっぱいになっていくのがわかった。

『二人がいたらどうする?ううん、神楽さんがいるはず無いし、
でも、いたとしたら、そしたら…』

 かおりんは呻きながら拳を握った。神経をピリピリさせ、か
おりんは一歩前に踏み出し、ゴクッと息を呑んだ。部屋の中か
らは激しい息づかいが漏れてくる。

「早く、もっと早く!」
 甘えるような神楽の声が聞こえた。

 もう決定的、踏み込むしかない、そう心に決めて、かおりん
は遂に扉を開けた。

「榊さん!」

 目にしたものを前に、かおりんは凍りつき、顔面蒼白になっ
た。

 榊はベッドに腰掛けて、TVゲームのコントローラーを手に
していた。神楽は榊を見つめながら、その肩に両手を回してい
た。

 肩に手を!同じような格好で!

 二人は制服姿で、神楽がまた叫んだ。
「もっと早く……あ〜あ…」
 テレビのゲーム画面から小さな爆発音が響き、残念そうに唸
った二人が、はっとしてかおりんを見あげた。

 神楽が榊に両手を回してベタベタしている様子から必死に目
を逸らし、かおりんは言った。
「あの、ええと、その…」
 消え入りそうな声。
「お家のカギが開いていたんで、それで…」
 そう言いながら、かおりんの頭はいっぱいだった。

『榊さんになれなれしく手なんか回しちゃって!ただの友達の
くせに、わ、わたしの方がよっぽど榊さんの事を…!これはも
う、わたしへの宣戦布告ってことよね!」

 気まずい沈黙が、台所から聞こえてきた甲高いやかんの笛の
音で破られた。
「あ、お茶…」
 そう呟いた榊が、ゲーム画面を閉じて部屋を出て行った。神
楽もニコニコ顔でそのあとをついていく。
「あたしはハチミツたっぷり!」
 そう言うと神楽はかおりんの肩をぽんと叩いた。
「かおりんもおいでよ!」
 神楽は笑顔でそう言った。

 かおりんは唖然として立ちすくんでいた。だが、緊張の糸が
ほどけてほっと安堵の息をつくと、かおりんは後を追おうとし
た。
 が、ベッドの下に目を止めたかおりんが立ちすくんだ。神楽
と榊の姿が見えなくなったのを確認して、素早くベッドの下に
手を突っ込んで取り出したものに、かおりんは顔面を真っ赤に
した。

 それは虎縞のパンティだった。

『さ、さ、榊さんがまさか、こんなパンティを?!』
 かおりんは頭が沸騰して、耳から湯気を噴き出した。(もち
ろん、これは隠喩である)

 あたりをキョロキョロ見まわしたかおりんは、その下着を自
分の鞄に素早く押し込んだ。

「かおりーん、何してんだ!?」
 向こうで神楽が呼んでいる。

「は、はーい、今イキますっ!」
 返事をして榊の部屋を出たかおりんは、顔が赤くなるのを抑
えようと必死だった。

 

 

第4話に戻る

 

*感想を百合茶話室にお書きください*

How did you like about this story? Please tell me in my LOUNGE BBS.

ENTRANCE HALL
INFORMATION DESK
READING ROOM
BACK to INDEX