無口な守護者

 

「…ライダー」

 桜が窓越しに囁いた。
 桜の言葉を夜陰の空気がサーヴァントの元に運ぶ。

 ライダーはいつも側にいる。常に桜を守っている。

 月が全てをエーテルの朧に浸す夜、庭は昼の風景とは対照的
に不気味に見える。窓辺から身を乗り出し、桜は薄明かりに目
を凝らし、紫色の影を見つけ出そうとしたその刹那、目の前の
窓枠に音もなく現れてひざまずいたサーヴァントに、桜は思わ
ずのけぞって息を呑んだ。心臓をドキドキさせつつも、桜は落
ち着こうとした。
 桜の意図を悟っていようが、ライダーはいつもこっそりと忍
び寄ってくるのだから。もしかしたらそれを楽しんでいるのか
も、と桜は思った。

 桜は無言のまま思いをはせた。あのラベンダー色のロングヘ
アが流れるように部屋の中に靡いた。あの髪に顔を埋めてみた
い、と桜はこのサーヴァントに初めて出会った時からいつもそ
う思っていた。だが、そうしたくても桜にはライダーにいつも
の戦闘服以外の服をほんのわずかな時間でも着てもらうことす
ら憚られた。
 べつにあのショートドレスやストッキング姿に気後れしてい
るわけじゃないんだけど、と思いつつも、桜の視線は目の前で
跪いている姿から離れられなかった。

「来たのね」
 ぽつりと桜が言った。自分の口から発せられた、そのオドオ
ドした声に桜は自己嫌悪した。いつだって自分の気持ちをもっ
とハッキリ言えたらいいのに、と桜は思っていた。そう、あの
凜のように。でもそうしようとしても、いつも羞恥心が顔を出
して邪魔されてしまうのだった。

 ライダーは返事をしない。決してしない。
 どこまでもライダーは「沈黙の守護者」。

「どうしてなの?」
 桜が呟いた。

 長身の美女は戸惑いながら桜に顔を上げた。出来ることなら
ライダーの目隠しを取り去ってしまいたかった。「自己封印・
暗黒神殿(ブレーカー・ゴルゴーン)」という宝具なのだ、と
前に教えてくれた。何の遮蔽物もなく桜が直に目を見てしまっ
たら、その邪眼が桜の命を奪ってしまうから、と説明してくれ
た。
 それに対する桜の対策は、古ぼけた眼鏡だった。それをかけ
るように桜が言い張ったので、やっとライダーが折れた。死よ
り危険なこのサーヴァントが命令に渋ったのは、桜に言わせれ
ばこれ一度きりだった。こんなものでは役には立たないのでは、
この世間知らずの少女をあっさり死なせてしまうのでは、とラ
イダーは心配した。だが結局、うまくいった。桜の考えは正し
かった。ライダーが自分の目と見る相手との間に何かを置く限
りは、安全なのだ。

「桜は私のマスターですから」
 ライダーがようやく答えた。その低い声の音調に、桜の身体
がぶるっと震えた。その反応に気づいたライダーの口元にニヤ
リと笑みが浮かんだ。
 うら若き少女は何か言おうと口を開きかけたが、それをサー
ヴァントが遮って続けた。

「あの男に令呪を持たれたとしても」
 吐き捨てるような声。
「彼が私のマスターになることなどあり得ません。私を召喚し
たのが誰なのか、ちゃんとわかっていますから」

 桜は目を丸くして、しげしげとライダーを見つめた。今の今
まで、桜はライダーを召喚したいきさつに関して語ることを避
けてきたのだ。ライダーは明らかに信二のことをわかっていた
のだ。魔力など持ち合わせていないあの男が、サーヴァントを
召喚することなど出来るはずなど無い、ということを。
 桜こそがライダーを召喚する魔法使いであったはずなのが、
信二が介入して令呪を盗んだことで儀式は遮られ、召喚は不完
全に終わってしまったのだった。マスターとサーヴァントの間
に結ばれるべき絆は結ばれず、その結果サーヴァントへの魔力
を供給する源すら無いも同然だった。
 ゆえにライダーが自分の思い通りに戦えないのは桜のせいな
のである。それにもかかわらず、ライダーがそのことに触れる
時の声には、恨みがましい響きなど一つもないのだった。

「入って」
 桜はそう言うと、窓辺から離れて箪笥から何かを取り出すと、
すぐ背後に隠し持った。サーヴァントは優雅に窓枠から飛び降
り、すくっと立ち上がって小柄な少女に注目した。

「はい、これ」
 若き乙女はそう囁くと、ライダーに小振りな眼鏡を手渡した。
無言の命令を悟って、ライダーは「自己封印・暗黒神殿 (ブレ
ーカー・ゴルゴーン)」と眼鏡を交換した。その間じゅうずっ
とギュッと目をつむって。
 交換した眼鏡に慣らそうと目をしばたたかせたライダーは、
こっちをじっと見ている桜に気づいた。少女に眉を上げて見せ、
ニッコリ笑うと、桜は真っ赤になって顔を背けた。

 桜はゴクッと息を呑んだ。いつだってこのサーヴァントの側
にいると、桜は気持ちをまっすぐ保っていられなくなってしま
う。ライダーは自分の行動を全く自覚していないようなのだが、
そのくせセックスアピールを濃厚に漂わせている。

 それに、あの目…。

 桜はあんな四角い瞳など見たことがない。その瞳をじっくり
見てみたいとは思っていたが、決して言い出せなかった。桜は
まるで考える時間を乞うように咳払いした。

 ライダーが一歩前に進み出たので、互いの距離が数インチに
なった。ただ自制心のみを頼りに、ライダーはそれ以上進み出
ようとする自分を抑えて、待った。
 桜はライダーにとって純粋さの化身だった。…その無垢な意
志に、サーヴァントは陶酔すら覚えた。少女が自分のことを求
めているのもわかっている。桜の傍に寄ってそれを感じ取るた
びに、ライダーは気も狂わんばかりになる。
 近づいたライダーに桜が顔を上げた。その顔はまるで車のヘ
ッドライトにすくんでしまった子鹿のようだった。

『あなたは、わたしのもの…』

 桜は息が出来なくなった。ライダーのラベンダー色の瞳に魅
入られた途端、桜の世界は崩壊してしまった。脳が痺れて口が
動かせなくなり、ただ見つめるばかりの桜に、ライダーは手を
伸ばして桜の耳の後ろにほつれ毛をかき上げた。その髪のしな
やかな指触りに、ライダーは驚嘆した。
 ライダーは指先を少女の顎のラインにそって滑らせ、頬を親
指で撫でた。

 桜は…純真無垢。

 こうして触れるだけでも、自分が桜を汚しているかのように
ライダーは感じた。

 桜の心の中で、何かが砕けた。内心悲鳴をあげて桜は後ずさ
ろうとした。
 ライダーは自分が桜にどんな影響を与えているかに心が及ば
ず、ただ自分の胸の奥でたがねのように鳴り響く心音だけを感
じていた。
 必死に長身の美女の魅惑的な視線から目を背けた桜は、ライ
ダーが手にしていた「自己封印・暗黒神殿 (ブレーカー・ゴル
ゴーン)」に気づいた。これを交換さえすれば、という一縷の
望みにすがり、桜はサーヴァントの手中にあるアイテムに手を
伸ばした。
 だが、手が届きかけた寸前に、ライダーは焦らすようにその
手を後ろに引いてしまう。ムッとした桜が再び手を伸ばしたも
のの、ライダーはその手首をつかんでねじ上げてしまった。抵
抗する間もなく、サーヴァントは桜の腰に両手を回して抱き寄
せた。
 桜は息を呑んだ。背中に熱い掌の存在を、さらにその手が激
しく愛撫してくるのを感じた。ライダーは猫のように目を閉じ
て桜の髪に頬ずりした。

『このまま後ろから…』

 無意識に、桜の手首をつかんでいた手が、桜のパジャマの上
着の下に滑り込み、お腹の柔らかな肌理をなぞりだした。
 桜はビクッとして、その繊細な指遣いに声を漏らした。今ま
でこんなふうに触れられた事はなかったが、桜とて全くのウブ
な小娘ではない。…だがライダーの熱い舌が耳に入り込んでき
た途端に、桜の心は空っぽになってしまった。何も考えられな
くなって、桜は小首を傾げてサーヴァントの侵食に応えた。
 ライダーはニコリと笑って、官能的な舌の攻撃を続けた。耳
たぶを口に含み、そっとしゃぶると、少女の脳内から全ての思
考が吹っ飛んだ。

『桜の心に入っていく…』

 低い喘ぎ声を唇から漏らす桜は、ライダーの指先がパジャマ
のズボンに焦らすように滑り込んだと思った途端、すぐに引き
抜かれてズボンの上から撫でられるのを感じた。ライダーがも
う片方の手を桜の背中に回して自分の身体に密着させてきたの
で、桜は身をよじらせた。どうしようもないほど股間がじんじ
んして、しかもライダーの手の動きと共にますます疼きが収ま
らなくなっていく。
 俯いて、ラベンダーの髪を肩にこぼしながら、ライダーが桜
の首筋に口を這わせ、ゆっくりとしゃぶり出すと、桜は快感に
目を閉じてしまった。桜は喘ぎ、サーヴァントの手に腰をすり
寄せた。
 ライダーは桜の股間に手を当てて、ゆっくりと指先をアソコ
に這わせてきたので、桜の全身に疼きがゾクゾクと走った。

『ここで期待を裏切って…』

 不意にサーヴァントは桜を放し、押しのけてしまった。少女
は人肌の温もりを失って切なさに呻きながら身を反転させたが、
そのままどすんとベッドに倒れ込んでしまった。倒れた桜は悲
鳴を上げたが、それは痛かったからではなく自然な反応に過ぎ
なかった。
 恐る恐る、桜は顔を上げた。このサーヴァントがその気なら、
心臓の鼓動一回の間に桜を殺してしまう事もたやすいことはわ
かっていたし、その上自分の鼓動は恐怖以外の何かによってス
ピードアップしていることも自覚していた。

 ベッドの上で桜が髪を乱してしどけなく横たわり、昂奮で頬
を赤くしつつも目におびえを浮かべている、まるでガラス細工
のように繊細で無垢な姿に、ライダーはゾクゾクッと身震いし
た。ライダーはゆっくりと、マスターが怯えて逃げ出さないギ
リギリを保ちながら、ベッドの上に這い上がって年若い少女の
上になった。
 ライダーは顔を桜に近づけ、互いの唇が触れ合う寸前で停め、
少女の吐息が唇をくすぐるのにも辛抱して待った。

『さあ、ここで拒むこともできますが…』

 桜は硬直してしまった。この長身の美女がなぜここで停まっ
てしまったのかわからなかったのだ。桜は訝しげにライダーを
見つめたが、やがてその目に全て悟った光が浮かんだ。
 ライダーは選択の余地を与えていたのだ。

 選択肢を与えられたなら、選ぶ答えは簡単。そう思った桜は、
グイッと身を起こすとサーヴァントの口にぎこちなく自分の唇
を押し当て、首に両腕を滑らすように回すと、ロングヘアに指
を絡ませて抱きしめた。
 少女の熱情にライダーはニコリと笑い、桜の横に身を横たえ
ると、脚を桜の両脚の間に差し込み、アソコをグリグリと圧迫
した。その快感で目の奥に火花が走り、ビクンと反り返った桜
は、今度はライダーが唇に舌を差し込んできたのを感じてのた
うち回った。
 サーヴァントはからかうようにマスターの舌に自分の舌を絡
め、ますます焦らしてきたので、もう駆け引きに飽き飽きした
桜は貪るようにキスを返して、自分の舌をライダーの口の中に
突っ込んだ。指で髪を梳くと、ライダーがくうんっと口の中に
声を漏らしたので、桜はその声がもっと聞きたくなって無意識
にゆっくりと両脚に挟み込んだライダーの太股に腰をグライン
ドさせていた。

『その気なら貴女など子供扱いなのに…』

 ライダーは背筋を愛撫する指先を感じて、それは服越しでは
感じ取れるかどうかギリギリの繊細さだったが、そのせいでか
えってたまらなくなってしまった。ライダーは桜の胸に手を当
ててベッドに押し倒し、自分は身を起こしてやっと桜をキスか
ら引き離した。
 いつもは純粋無垢な桜の瞳に情欲が覆っているのを見ると、
サーヴァントも思わず溜息を漏らさずにはいられなかった。桜
がベッドが沈むのを感じて、見るとライダーは両脚の位置を動
かし、少女の腰の上にまたがると、上半身を倒して桜の喉元に
舌を這わせた。
 桜は身を反らせてライダーと密着しようとしたが、ライダー
が力強い手で桜の胸を押さえつけて、身動きさせない。その押
さえている手と反対の手が、桜の身体を舐めるように滑って、
パジャマのボタンを外しだしたのを、桜は察した。

 一瞬不安に駆られ、桜は唇を噛んだ。どうしたらいいか考え
る時間も与えず、ライダーは仕事を終えてしまい、桜のパジャ
マをはだけた。長身の美女は身を起こして、その光景を堪能し
ていたが、桜が顔を真っ赤にして顔をぷいっと背けてしまった
のを見ると、股間がジンジン疼くのを感じずにはいられなかっ
た。
 ライダーは指先を少女のお腹に這わせ、その完璧な肌に陶酔
しながら、さらにその手で乳房に触れた。寝る前の事でブラを
していなかったのが良かったと言うべきなのか、と思いながら、
桜はライダーが親指で乳首をクリクリ刺激してくるのに喘ぎ声
を漏らした。

 ふと桜がサーヴァントの顔に視線を戻すと、その目がすっか
り食い入るように見つめているのに気づいた。ハッと息を呑ん
だ桜に、ライダーが視線を外し、ガクンと俯いたので、その髪
が一気に降るように垂れた。サーヴァントの熱い口が桜の乳房
に触れたと思った途端、乳首を口に含んでしゃぶり出すと、桜
は思わず大声を上げた。乳首に軽く歯を立てると、桜の身震い
を身体で感じ取って、ライダーはもう我慢できなくなった。

『もっとめちゃめちゃにしてあげます…』

 うなり声をあげながら、ライダーは少女の乳房から顔を上げ、
流れるような動きでベッドから転がり降りた。そして乱暴に自
分の服の袖を引っ張り、ブーツを脱ぎ捨て、自分の身体から全
ての衣服を引っぺがしていった。

 ライダーが月明かりの中で刻一刻とその素肌を晒していく、
その姿を桜はうっとりと見つめていた。そして、まるで誰かに
身体を操られてしまったかのように、桜は立ち上がってライダ
ーに歩み寄ると、サーヴァントの前に膝をつき、下からその長
身のボディラインを見上げていき、そして大きく見開かれたラ
ベンダーの瞳と視線を合わせた。
 ライダーは足元に跪いたマスターの無垢な瞳を見下ろしなが
ら、詰まりそうな息を強引に吐いた。

 こんなに清らかなものを私は今まで見た事が…ああああっ!
 いけません桜!

 桜の指がストッキングの上端にかかり、そのまま下に引き下
ろしながら、桜の舌が内腿を舐めだしたのを感じると、ライダ
ーは頭がクラクラした。反射的に足を交互に上げたライダーの
ストッキングを脱がせると、桜は立ち上がって、ライダーと同
じように瞳を見つめた。
 ライダーは目を逸らすことなく、自分の脇に手をやり、ジッ
パーを下ろすと、たちまち服が緩んだ。桜はドキドキして震え
る手でパジャマを抑えて、思わず視線を落とした。不安げに唇
を舐める桜に、ライダーは意味もなく心臓の鼓動を早め、そし
てゆっくりと服をその長身に沿って脱ぎ落とした。

 桜は恐る恐るサーヴァントの乳房を見つめ、おずおずと手を
伸ばして柔らかな肉球に触れた。その手の感触に全身をビクッ
とさせ、息づかいを早めたライダーが、改めて桜の視線に気づ
いた。桜は長身の美女の顔をちらっと見ると、すぐに息荒く上
下する美乳に視線を戻し、そして何かを決意した。
 桜は顔を寄せて、両手でライダーの両方の利房を持ち上げる
ように抱えながら、鎖骨から乳首までを一直線に舐め下ろした。

 正直、これからどうしたらいいのかはよくわからなかったが、
桜は時間をかけてキスと舌で乳房全体を完全に踏破すると、無
意識にさっきライダーがやったのを真似るようにして、乳首を
口に含んで引っ張った。すると、引っ張ったはずみで桜の歯が
敏感な肌に食い込んでしまったせいで、ライダーがぶるっと震
えたのが桜にもわかった。

『したいようにするしか…』

 試行錯誤しつつ、桜はそっとライダーの乳首に歯を立ててや
ると、サーヴァントの見せた反応に目を白黒させた。効果は覿
面、ライダーはガクンと首をのけぞらせて、口から喘ぎ声を漏
らしながら、本能的に自分の手を桜の髪に埋めてがっちり抱え
込んだ。
 髪に絡んだライダーの指の感触を心地よく感じたが、しかし
桜はライダーの手首をつかむと無理矢理に下に降ろした。桜は
自分のできる限り、この状況を最大限に活かそうと思ったのだ。

「じっとしていなさい」

 そう命じた桜の声は、いつもよりずっと低かった。
 ライダーはゴクッと息を呑んで桜の顔を見下ろした。このま
ま桜の命令にずっと従っていられるかどうか、ライダーには自
分をコントロールできる自信はなかった。

 桜…これは、拷問です…。

 ライダーは漏れそうな喘ぎ声を必死で抑え込むと、桜がやっ
と顔を離せたので、再び乳房をしゃぶりだした。桜がライダー
に対してアドバンテージを取れたのは初めてだった。

『諦めて、わたしの言うとおりにしなさい…』

 桜の唇が下に向かって移動していくと、ライダーは身震いし
た。桜の舌が胸の谷間を抜けておへそにまで降りてきた。ライ
ダーの美しい肌の下に隠された筋肉に、桜は驚嘆した。想像し
たとおりだったが、その筋肉がピクピクするのが感じとれたの
だ。桜は目の前の引き締まったお腹に両手を当てて、大きく指
を開き、乳房の下のところまで滑るように撫で上げた。
 そこで桜は指を曲げ、爪を立てて、真っ白な肌にすっと赤い
痕跡を引き下ろした。ライダーが両手を真下に伸ばしたまま拳
を固く握りしめているのに気づき、桜が見上げてみると、サー
ヴァントは桜を恍惚の表情で見つめ、桜の香りを全て吸い尽く
そうとするかのように鼻をひくひくさせていた。
 桜は勢いに乗じて、真上のラベンダーの瞳から視線を合わせ
たまま、舌をおへそに押し込んだ。

『降参して、わたしに身をゆだねて…』

 突然、乱暴に引っ張り上げられて荒々しく唇を貪られた桜は
息を呑んだ。が、すぐにうっとりしてしまった。そもそも、桜
はキスを争うよりも屈服してしまいたいという気持ちの方が強
かったのだ。ゾクゾクするような不安感が脳内を駆け巡った。
 このサーヴァントが今の自分の境遇を否定しようとしたら、
どんな事をしでかすか…そう思うと桜の股間は炎のように疼い
た。

 ライダーは低く唸りながら桜の下唇を強く噛んだ。滲んだ血
の味にライダーは頭がクラクラした。感極まってライダーは顔
を離すと、自分が付けた傷を舌でぺろぺろ舐めた。
 これ以上引き延ばすのにも飽きて、ライダーはさっさと桜を
抱き上げ、ベッドに放り出した。

 桜は予想外の展開に悲鳴をあげてライダーを見つめたが、す
ぐに淫靡な想いが湧き上がった。桜は半身で横になると、自分
の身体を手でなぞってそのまま股間に伸ばし、サーヴァントに
向かってこれ以上もないほど淫らな顔を向けた。

 ライダーの顔に浮かんだ表情から、桜の仕草が魔法のように
働いたのは確かだった。

『愛してあげる、めちゃくちゃにしてあげる…』

 ゴクリと息を呑んだライダーは、いつの間にか自分でも気づ
かないうちにベッドに這い上がっていた。ライダーは桜の寸前
で動きを止め、パジャマのズボンの中に手を突っ込んで大胆に
股間をまさぐる少女の姿を食い入るように見つめた。
 ビックリするほど大量の愛液がアソコから溢れ、それに気づ
いて桜は呻きながら手の動きに合わせて腰を使ったが、その視
線は決してサーヴァントの瞳から離さなかった。

 ライダーはたちまち蛇が飛びかかるようにむしゃぶりついて
唇を奪い、桜を押し倒した。そして少女の腰にまたがると、桜
が股間に当てていた手を押さえ込んだ。その動きで自分の手を
アソコにぐっと押しつけられたせいで、桜はキスしたライダー
の口の中に喘ぎを漏らした。

『愛してあげます。どうしたらいいかも教えてあげます…』

 ラベンダーの髪が滝のように流れ落ちてきて、サーヴァント
の甘い匂いをかぎながら、桜は舌を絡ませ合った。ライダーが
ゆっくりと腰を使い始めると、桜の手が互いのアソコにぐいぐ
い押しつけられて、桜は思わずキスしていた口を離して大きな
悲鳴をあげた。
 その機に乗じて、ライダーは顔を寄せると桜の耳に舌を突っ
込み、唇を耳周りの柔らかな肌に密着させた。
 口から何と言っているのかよくわからない声が漏らしながら、
桜は自分の下腹部に熱いものが溜まっていくのを感じだしてい
た。サーヴァントが強く首筋を吸ったので、微かな痛みを一瞬
感じた桜は身をのけぞらせ、無意識に手の動きを早めていた。
 ライダーも満足げな声を小さく漏らした。その声が桜の耳に
低く、甘く響いた。

『貴女を夢見心地にしてあげます、何もかも…』

 ライダーは股間に手を伸ばし、桜の手首をつかんでパジャマ
から引き抜いた。桜は不満げに声を漏らして腰をサーヴァント
に押しつけ、ぐりぐりされる快感を取り返そうとする。
 ライダーはほくそ笑んで、桜の手を自分の口元に運んだ。目
を丸くして見つめる桜に、ライダーは桜の指をきれいに舐め上
げた。指をしゃぶっていくサーヴァントの舌の感触に、腕全体
がゾクゾクした。
 仕事を終えたライダーが人差し指にちょっと歯を立てたので、
桜はビクッとして手を引っ込めた。満足したライダーが、ズボ
ン越しに桜のアソコに腰を擦りつけ、さっきより激しくグライ
ンドさせたので、桜が喘いだ。

「あっ……あああん…」
 息を切らして声を漏らす桜の下半身に、再び熱いものがわだ
かまった。ライダーは身を降ろし、肘を桜の顔の両脇について
体重を支えつつ、紅潮した桜の顔によぎる表情を凝視した。桜
の無垢さに惹かれ、ライダーはまたキスを求めた。
 快感が膨れあがって、桜は身悶えしながらサーヴァントと腰
をくっつけ合った

『もっと、もっとえっちに、わたしの全身を触って…』

 喘ぎ声がライダーの口で塞がれ、桜はライダーの下でのたう
ち回った。桜は長身の美女の乳房に両手を当て、指で乳首を刺
激すると、どんどん固くしこってくるのがわかった。
 ライダーは低い呻きを漏らし、さらに激しく腰を使った。自
分の意志とは別に、ライダーはあっという間に現状をコントロ
ールする事ができなくなっていった。

 こんな、ただの女子高生に私が崖っぷちに追い込まれるだな
んて、どうして…

 桜が指で乳首をきゅっとつまみ上げると、ライダーは悲鳴を
あげてガクンとえびぞった。早く自分を取り戻さないと、桜に
イニシアチブを完全に取られてしまう、と思ったライダーは、
少女から必死に離れると、脚を振って身をのけ、少女の隣に身
を横たえた。
 だがそれでもライダーの思い通りにはならず、桜は両手を伸
ばして年上の美女の首に抱きつき、顔を寄せて焼けつくような
キスをした。目を回したライダーはこのまま降参と思いながら、
少女の華奢な身体を自分の上になるように抱き寄せていた。

 ふと、桜がまだパジャマのズボンを穿いたままだった事に気
づき、ライダーは呻いた。ライダーが執拗に桜のズボンを引っ
張ったので、桜にもサーヴァントの言いたい事が察せられた。
 桜はニッコリ笑うと、自分のズボンをずり下ろし、腰を浮か
せて足首まで脱がせた。ライダーは両手を桜の背中の柔肌に滑
らせ、そのままお尻の双丘にまで伸ばし、唸りながら乱暴に抱
き寄せた。

『私の炎に触りましたね、火傷しますよ…』

 さっと身を翻したサーヴァントが再び上になったので、桜は
本能的に両脚をライダーの腰に回し、首元に顔を埋め、喉の白
い肌に歯を立てた。
 ライダーは桜の股間に手を伸ばし、肉襞に指を滑り込ませる
と、挿入された指を包む淫肉がひくひく痙攣した。唇を噛む桜
に、ライダーが動きを止めて見下ろす。ライダーは何も言わな
かったが、何も言う必要もなかった。
 少女はコクンと頷くと、ライダーの髪を引いて顔を引き寄せ、
そっと口づけした。ライダーはいったん指を引き抜くと、今度
は二本、濡れた秘所に差し入れると簡単に入っていった。ライ
ダーは桜の顔を見つめたまま、桜の敏感な神経の集まった小さ
な肉芽を親指で前後にクニュクニュと捏ねていた。

「あはあああん…いいっ…、ラ、ライダー…」

 桜は呻きながら、腰をくねらせ、シーツを握りしめた。ライ
ダーはしばらくそうしてから、やおら指を奥に押し込んだ。桜
は喉の奥から小さく呻き、サーヴァントの肩にしがみついて、
ラベンダーの髪に顔を埋めた。
 痛みはだんだん薄らぎ、ライダーも指の動きを抑えてくれた
ので、桜はやっと力を抜いた。ライダーは少女の耳に軽くキス
の雨を降らせ、桜にはわからない言語で何事か呟いたが、それ
が奇妙に心地よく感じた。桜が小さく安心した声を漏らしたの
で、ライダーは作業を続けた。

 ああ、桜ったら…。

 ライダーの手の動きに合わせて、桜が自分から腰を動かし始
めた。桜は唇をライダーの首筋に沿って這わせ、大きな声をあ
げないように肩を軽く噛んだ。
 桜の呻き声にライダーは会心の笑みを浮かべ、さらに早く指
を抽送した。長身の美女の親指が再び小さな蕾を見つけ、桜の
全身に電気火花のような快感を送り込んだ。
 桜はサーヴァントの肩を少し強く噛んで、自分の身体に何が
起こっているのか必死で理解しようとした。

「わ、わたしもう…ううううんん…ライダーっ!」

 桜が悲鳴を上げた。桜の胎内でライダーが指をくねらせたの
で、桜は目の前が真っ白になり、サーヴァントの指をくわえこ
んだ肉壁がぎゅっと締め付けた。桜はサーヴァントの下で激し
く痙攣し、しがみつき、腰を突き上げたので、ライダーの指は
さらに深くまで押し込まれた。
 ライダーは押し殺した呻き声を漏らしながら、純真無垢なマ
スターが生まれて初めてのオルガスムに全身を満たされている
のを感じていた。桜の唇を舌先で愛撫しながら、ライダーは少
女が性の高みから降りてくるのを待った。

『もう、元の貴女には戻れませんよ…』

 桜の目が焦点を取り戻し、ライダーの楽しげな目を見つめた。
桜の顔にぱっと輝くような笑顔が浮かんだ事に、サーヴァント
も口元をほころばせた。

 いきなり桜が弾けるように身を起こし、ライダーの唇を奪っ
て、舌を口内に滑り込ませた。もごもご言ったライダーに、桜
の指が髪を引っ張り、うまい具合にベッドに転がして、桜がヘ
ッドボードに向かい合う体勢で身を起こした。
 桜が両手をサーヴァントの腰に回し、お尻に爪を立てて引っ
張り込んだので、ライダーは少女の膝の間に身体を入れる体勢
になった。お尻の両側に食い込む鋭い痛みに息を詰まらせなが
ら、ライダーは少女の肌触りを早く堪能しようと、片手をマス
ターの背中に回して互いの身体を密着させた。そして反対の手
を桜の髪に埋め、顔を桜の唇に近づけようとする。
 だが桜はキスをすぐに中断し、ライダーの下唇に歯を立てて、
きつく噛んだ。血の味が五感に広がっていくとともに、ライダ
ーが喘いだ。絶え間ない股間の疼きが鈍い咆哮へと変わってい
った。
 それを察した桜は、ライダーが無意識に腰を使い出している
事にも気づいた。

『これが気持ちいいんだ…』

「動かないで」
 力を込めてギュッとライダーの尻肉を握り、爪を立てたので、
間違いなく赤い爪痕が残ったのが桜にも察知できた。サーヴァ
ントは押し殺した声をあげてゼイゼイと喘いだが、腰の動きは
止めた。良くできました、と言わんばかりに、桜はサーヴァン
トの首筋に鼻を擦りつけ、鎖骨を唇でくわえた。
 最初は歯を使って肌を刺激していたが、やがて口を密着させ
てきつく吸うと、柔肌が吸い込まれるかと思われるほどだった。

 ライダーが喉の奥から低い声を漏らし、桜が顔を離すと、真
っ赤なキスマークが残っているのがわかった。初めてのキスマ
ークに満足して、桜はライダーの胸元に顔を寄せる。ライダー
の両腕が自分を放してしまったのがわかったが、桜は年上の美
女の乳房に夢中で、かまっていられなかった。

 サーヴァントが自分では動かないようにと思っていても、筋
肉がどうしてもピクピクしてしまう様を、桜は陶然と見つめた。
張り詰めた筋肉を覆う柔肌を見つめていると、ウットリしてし
まう。そんなライダーの身体がどこまでいったら弾けてしまう
のか、桜は絶対に見届けようと決意した。
 桜は無邪気にライダーの背中を指先でなぞり上げ、同時に爪
を立てて素肌をひっかきながら、乳房に噛みついて歯形を残し
た。長身の美女はガクンとのけぞってエビぞりながらも、自分
の乳房をますます桜の口に押しつけた。

『ほんのちょっと痛い方がいいのね…』

「あふ…ううん」
 ライダーが呟く。
「マスター…」

「桜よ」
 ライダーのお腹をひっかき、赤い跡を残して、桜がぼんやり
と言い直させる。その手はさらに下に向かっていき、すでにぐ
っしょりと濡れそぼったラベンダーの巻き毛をかき分けていく。

「さ、桜…」

 そう呼んだライダーの巻き毛のヘアに、桜が指を絡めて引っ
張った。可憐な女子高生は、何か木がパキッと割れたような音
を耳にして顔を上げた。見るとこの長身の美女がヘッドボード
を死にものぐるいで握りしめていた。
 桜は嬉しそうに笑うとライダーの唇に軽く触れるだけのキス
をして、このサーヴァントをさらに焦らす。ライダーは何か言
おうと口を開いたが、言葉を呑むといきなりその唇を桜の口に
ぎゅっと押しつけてきた。

 言葉なんかいらない…もう何もかも…。

 桜がキスを返しながら、サーヴァントを憐れむかのように、
今までの激しさを少しゆるめた。ライダーのラベンダーの瞳の
奥に懇願を読み取ると、桜は指を二本、濡れそぼった肉襞の間
に滑り込ませた。

『わたしたち、これでいっしょよ…』

 ライダーの膣肉の柔らかさに、桜は感嘆した。滑るようにた
やすく指が温もりの中に入っていく…。ライダーの喘ぎ声にハ
ッと我に返った桜が、顔を覗き込んだ。
 サーヴァントはうつむいて額をマスターの肩に押し当て、首
筋に顔を埋めた。小さな呻きを口から漏らし、腰を突き出し、
桜の指の動きに合わせてくねらせる。

 今にもイッてしまいそうなその寸前、桜は指を抜いて、手を
ぐっしょり濡らす愛液を目を輝かせて見つめた。イカせてもら
えなくて不満げに口を閉じたライダーが、マスターとの繋がり
を失って顔を上げた。
 茫然としたライダーの顔を見て、桜は濡れそぼった自分の指
を鼻に当てて香りを嗅ぎ、舌をそろそろと伸ばして指を舐め上
げた。

 桜…?あああ…。

 指の愛液をきれいにしゃぶっていく桜の姿に、ライダーは焼
けつくような炎に全身を焦がした。サーヴァントの食い入るよ
うな視線を感じて、桜はクスッと笑うと、ライダーにチュッと
軽くキスをした。

 どうしてこんなに桜は無垢に見えるのだろう…?

 ライダーは心の中で悲鳴を上げていた。桜の指をもう一度自
分の胎内に入れてほしい。ライダーの望みはそれだけだった。

『不十分なら、もっと昂ぶらせてあげる…』

 桜は腰を上げ、身体の位置をライダーの下半身にまで下にず
らすと、心地よさげに股間に顔を埋めた。ヘッドボードをつか
んでいたライダーの手に、これから起こる事を予感して力がこ
もったその時、桜の舌が恐る恐る触れてきた。
 サーヴァントは歓喜にガクッと首をのけぞらせ、髪が跳ね、
全身をこわばらせた。

 桜の指だけでも天国なのに、なのに…。

 ライダーが全身を痙攣させた。桜が肉襞を親指で押し開いて、
ビンビンにしこった肉芽にフッと息を吹きかけたのだが、いっ
たい桜が何をしたのか、すぐにはわからなかった。絶叫ととも
に木片が割れ、ライダーはまるで炎で引き裂かれたかのように
全身を硬直させた。
 自分の意志を離れて腰が動き、少女の口に押しつけるように
グラインドさせながら、ライダーのギュッと閉じたまぶたの裏
に星が浮かんだ。肉襞の奥からますます愛液が湧いてきたのを
察して、桜は舌を使ってできるだけこぼさないようにしゃくっ
た。

「あっ…」

 呻いたライダーの身体が急に脱力し、やっと精神の機能が回
復した。

 いったい自分は何を…?

 少女の舌が再び肉襞の中をまさぐって来たのを感じた途端、
サーヴァントは自分が桜を同じ目に遭わせてしまった事に気が
ついた。

『私は、愛する者を傷つけてばかり…』

 ライダーを抑えておけなくて、桜は自分も腰を使って動きを
合わせなくてはならなかった。少女の舌が限界まで中に入って
きて、悶えるライダーの秘肉が侵入者をグイグイ締め付けて逃
がさないようにした。

「あ、いいっ、桜…」

 呟いたライダーは自分が再び燃え上がっていくのを感じた。

 どうしてこんなに純粋な人が、こんなに上手いの?…ああっ!

 桜が舌を抜いて、敏感な小さな肉芽をしゃぶり出すと同時に、
ライダーの中を指でいっぱいにすると、サーヴァントはぎゅう
っと目を閉じた。桜の口と指が競うようにライダーを攻め立て、
長身の美女の心拍は限界知らずに急上昇した。

「も、もっとっ」

 ライダーは呻きながら、自分の股間の少女に顔を向けた。桜
は全裸の美女を見上げた。真っ赤に火照った顔にラベンダーの
髪が光背のように広がっている姿に、これ以上にセクシーな存
在なんか見た事がない、と桜は思った。
 桜は求めに応じて、さらに激しく指を抽送しながら、感じて
いるライダーの顔に浮かぶ表情を凝視した。桜はふと思いつい
て、ライダーの胎内に挿入していた指をきゅっと曲げ、ピクピ
クしている肉壁を爪でクリクリ刺激した。

『吸って、舐めて、もっとしゃぶって、飲んで…』

「桜あっ!」

 マスターが肉襞に歯を立てられ、ライダーは引き付けたよう
な声を発して、一気にギリギリにまで追い込まれた。全身を激
しく震わせ、ヘッドボードにしがみつき、ライダーは自分の身
体が裏表ひっくり返るかのように感じた。
 ライダーは目を閉じた。全身が燃え上がり、体内で渦を巻く
エクスタシーに抗えなくなっていた。

 この時を待っていた桜は、挿入した指を使い続けながら、溢
れ落ちる愛液を一滴残さず舐め尽くしていた。指をグイグイと
締め付けるライダーの肉壁の感触は素晴らしかった。

 まるで万力で絞られるみたいなのに、本当に柔らかくて、熱
い…。

 胸を大きく上下させつつ、サーヴァントは自分の思考を必死
で維持しようとしたが、心は快感の霧に包まれたままだった。
 桜が愛液を舐めるために指を抜こうとしたが、その手をぎゅ
っと掴まれた。訝しげに桜が見上げると、ライダーはベッドの
上で身体の位置をずらして、桜の隣に移動した。そして桜の手
を口元に持ってくると、ライダーはマスターの目を見つめたま
ま、指をしゃぶりあげた。
 ライダーの視線に桜が見返してくると、頬を火照らせたライ
ダーの全身から本当に熱が放散してくるかのようだった。

 自分の愛液を舐め取り終えると、ライダーは桜の手を引いて、
マスターの華奢な身体を自分の上に引きあげた。

『本当の痛みというものをわからせてあげます…』

 片手をついて身を起こし、ライダーは顔を寄せて桜の乳房か
ら首筋までを濡らすように舐め上げながら、反対の手で小振り
な乳房を揉みしだいた。サーヴァントが乱暴に乳首をきゅっと
摘むと、桜は息を詰まらせてブルッと震えた。
 桜が気持ちよくなっている、と思って、ライダーはキスの雨
を降らせ、少女の首筋を甘噛みし、また気持ちよくなってもら
おうと夢中になった。

 唇から甘い吐息を漏らしながら、桜は自分がどうしてまたこ
んなふうに受け身になっているんだろうと思いつつも、身体は
サーヴァントの奉仕に再び反応し始めていた。サーヴァントが
首筋に歯を立てると、桜は唇を噛み、身を反らしてライダーに
もたれかかった。股間にジンジンと熱いものが押し寄せた。

 ちょっと小休止した途端、少女の両手が首に回って、もっと
してと急かしてきた。慌てず騒がず、長身の美女が顔を少し寄
せ、桜の白い喉を強く噛むと、マスターは痛みに呻き、首に回
していた両腕に力を込めた。その意図を桜が察したと確信して、
ライダーは歯形の残った場所に鼻をすり寄せ、そこにそっと口
づけすると、反対側の首筋に移った。
 無垢な女子高生は、自分が痛みに悦んでいるのかどうかよく
わからなかったが、そんな事は後で考えればいい、そう思った。
そして耳の裏に性感帯を発見したライダーに反応して、桜はの
け反った。

『これで終わりではありませんよね…』

 ライダーは桜の乳房から手を離し、動揺した桜があげた声を
無視して、ゆっくりとその手を桜の背中からお尻にと伸ばすと、
爪を立てて肩胛骨まで引っかいていった。
 ヒッと悲鳴をあげた桜は、サーヴァントのラベンダーの髪に
顔を埋め、甘い香りを嗅ぎながら、背中を駆け上がっていく熱
いものを堪えようとした。
 ライダーは少女の耳に舌を差し込み、耳たぶをなぞるように
舐めた。あたかも、桜の心から痛みをぬぐい去ってやるかのよ
うに。

 二人の身体を同時に支えていた手が疲れてきたので、ライダ
ーはからかうように桜をキスに誘いながら、前のめりに倒れた
ので、マスターは仰向けに横たわった。
 桜は互いの体勢が変わった事にも気づかないまま、サーヴァ
ントの唇を貪り、腰に回した両脚を解こうともしなかった。ラ
イダーはキスしたまま笑うと、互いの間に手を差し伸ばし、指
先で少女のアソコの周りをなぞりだした。

「ライダああああっ…」

 むせび泣く桜が腰をくねらせて、焦らすような指を何とか自
分の中に入れてもらおうと空しく試みる。少女の口から漏れて
くる、もうすっかり降参した声を堪能して、長身の美女は優し
く少女のアソコの上にある肉芽を指先で刺激し、さらにまた陰
唇を愛撫した。
 桜は悲鳴を噛み殺し、耐えきれない感覚に頭を打ちつけ、両
手をライダーの背中に回して、ひしと両肩を掴んだ。ライダー
の長い髪が肩越しに垂れ、少女の顔を見下ろすようにして、下
唇をはむはむと囓ってそっと求めた。桜が唇を開くと、ライダ
ーの舌が荒々しく入り込んできて、同時に下のお口にも指を挿
入した。

『もっと、もっと悦ばせてあげられますよ…』

 桜はもう何も考えられなくなり、サーヴァントの奉仕を受け
て頭に霧がかかったようになってしまって、ライダーの指が深
く差し入れられて、まるで肺の中の空気が全部掻き出されるか
のように思えた。
 ライダーがただひたすら指の動きを早めていくと、マスター
の喉の奥から微かなむせび泣きが漏れた。ライダーは顔を寄せ
唇を桜の肩の柔肌に押し当てた。桜の喘ぎ声が耳の中に響き、
それがライダーを文字通りに暴走させてしまった。

「もっとして、ああん…っ、ライダー…お願い…」

 可憐な女子高生は声をからし、全身が反り返ってお尻がベッ
ドから浮いてしまった。ライダーは桜の身体が震えだしたのを
察したのと同時に、自分も限界に達して、その手が衝撃波のよ
うにギュッと締め付けられるのを感じた瞬間、桜の肩に噛みつ
いてしまった。

 苦痛と快感が砕ける岩のように同時に押し寄せ、桜は絶叫し
た。オルガスムのパワーが桜の背を持ち上げ、悦楽の波に精神
が麻痺した。

『桜が呼んでくだされば、私はいつでも参ります…』

 ライダーは桜の胎内で指を使い続け、できるだけ長くオルガ
スムを引き延ばした。そして桜の身体は、汗で濡れたベッドシ
ーツの上に崩れ落ちた。
 ライダーは少女の唇に清らかな口づけをして、それから桜の
額に顎を乗せると、少女は本能的にライダーの首のカーブに顔
をすり寄せた。

 呼吸を整えようとしながら、桜はようやく現実感を取り戻し、
目を開いた。ライダーが守るように密着しているのに気づいて、
桜は少し身を引いて、サーヴァントの顔を覗き込んだ。

 ライダーは目を逸らし、シーツに視線を落とした。これから
浴びせられる詰問が恐ろしかったのだ。
 だがちゃんとこっちを見て、というようにしっかりした手で
顔を向けさせられたライダーは、真面目な顔になって少女を見
つめた。ライダーの瞳に溢れる力強さの陰に、自信が揺らいで
いるさまを桜は感じ取ったが、すぐにこのサーヴァントの呆れ
るほどの強さを思い出した。

「そ、それで…」
 口ごもったライダーが、だんだんと首まで真っ赤にした。
「…ほ、他には、何か?」

 目の前の光景を見つめる長身の美女は、桜の純粋さを改めて
思い知り、自分にとっての優先順位がいささかも揺るいではい
ない事を悟った。

 その脳裏に、微かな声が響いた。

 この少女を、我が息が絶えるまで守り通してみせる。たとえ
聖杯を引き替えにしてでも…。桜がマスターだから、ではない。
桜の純粋さを、私を陶然とさせずにはおかない甘美さを、出来
うる限りに守り抜きたいから。

 ふと、顔を押さえていた指が離れた。見ると桜は顔を背けて、
その目には涙が溢れていた。

『貴女を傷つけたりしないから、ただ目を閉じて…』

「桜」
 ライダーはそう囁くと、少女の腰に手を回し、自分の身体に
抱き寄せた。マスターの少女は微笑みがこぼれそうなのを隠し
ながら、背中に感じる温もりを感じてほっと溜息を漏らした。

 ライダーは桜の耳元にキスして、首筋に鼻をすり寄せながら、
満ち足りたような吐息をついて、身を離した。肌の温もりを失
って訝しがる桜をよそに、ライダーはベッドから降りてしまっ
た。
 身を起こした桜は、服を拾い上げようと身を屈めたライダー
を見つめた。

「どこに行くのっ?」

 そう言ってライダーのお腹に抱きついた桜は、まるで迷子に
なった子供のようだった。
 ライダーは服を拾う手を止め、桜を一瞥したが、また服を見
下ろし、そして窓を見やった。

「見回りにいかなくては」
 静かにライダーが言った。
 それに、じきに信二が起きてくるし…、と頭の中で付け加え
て、ライダーは視線をちょっと天井に向けた。

 その表情を目にして、桜は頷いたものの唇を噛みしめた。ラ
イダーの気持ちがどうであろうと、忌まわしい現実を変える事
は出来ないという事はわかっていた。ライダーは桜のものでは
なく、このままここに留まる事は許されないのだ。
 視線を床におろし、桜はまた頷いた。

 ライダーはそんな桜を目にして、喉に詰まったものを呑み込
んだ。
 自分はここに残ることはできない…。この少女はただ離れが
たくなっているだけ。私は出て行かなくてはならない…。とい
っても私はもうすでに事態を混乱させてしまったわけだ。そう
思って、ライダーはうなだれた。

 手にした服を取り落とし、ライダーは可憐な少女の傍に歩み
寄って、手を伸ばすと親指で桜の頬を撫でた。
 桜はライダーの手にハッと顔を上げた。ライダーが身を寄せ、
そっとキスしてきた。

 ライダーはかけていた眼鏡をちょっと直して、ほっと溜息を
ついた。

「ま、まあ、もうちょっとなら、ここにいてもいいでしょう」

 そう呟くと、桜の顔がパッと輝いた。桜はライダーに飛びつ
くと、首に両腕を回して、激しく口づけしながら、年上の美女
をベッドの中に引きずり戻した。
 あまりに予想外なラブ攻撃で転けそうになったライダーに、
桜がクスッと笑った。サーヴァントはやれやれと首を振りなが
ら、少女の隣に横になったが、その唇に笑みが浮かんでいる事
には少女は気づかなかった。

 桜は横の美女に身をすり寄せ、毛布をかけ直した。

「せめて、わたしが眠るまでここにいてね」

 ライダーの額の紋章を指でなぞりながら、桜はあくびを噛み
殺すように呟いた。

 ライダーは顔を上げ、唇を少女の指先にかすらせた。

「ダメです、って言ったら?」

 からかうライダーに、桜はふくれっ面をして年上の美女をコ
ツンとぶつ真似をした。ライダーは降参とばかりに両手を差し
上げ、ニッコリ笑った。

「わかりました、ここにいます」
 ライダーは静かに言った。
「でも、桜が眠るまでですよ」

 嬉しそうに唸った桜に、ライダーは片手を回し、無意識に桜
を守る姿勢になった。長身の美女の胸に顔を寄せ、桜はサーヴ
ァントの首筋に残った痣にキスした。思わず上げそうになった
声をライダーは押し殺し、横から聞こえてくるクスクス笑いを
わざとらしく無視した。

 物想いに耽りながら天井を見上げているうちに、ライダーは
少女が全身の力を抜いて、息づかいも規則正しいリズムでゆっ
くりとしていき、眠りについたのを感じ取った。

 ライダーは溜息をついて、桜の髪の香りを嗅いだ。

「苦しみを味わってこそ、全ては始まるのですね」

 そう呟いて、ライダーは夢の中の少女をそっと抱き寄せた。
 
 

  

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